2014年山口県知事選挙

2014年山口県知事選挙

2014年（平成26年）2月23日、山口県の新たな知事を選出するための選挙が実施されました。この選挙は、前職の山本繁太郎知事が健康上の理由により職務の継続が困難になったため、任期途中で辞職したことに伴い行われたものです。

選挙に至る経緯

山本知事は2013年10月に健康を損ね入院・療養を続けていましたが、職務への復帰が難しいと判断し、2014年1月9日に県議会議長宛てに辞職願を提出しました。これを受け、1月14日に開催された臨時県議会本会議で辞職が同意され、同日には県選挙管理委員会によって、2月6日告示、2月23日投開票という知事選挙の日程が正式に決定されました。なお、山本前知事は選挙後の同年3月15日に肺癌により逝去されました。

立候補者たち

今回の知事選挙には、合計3名が立候補しました。主な顔ぶれは以下の通りです（届け出順）。

村岡 嗣政（むらおか つぐまさ） 氏
元総務省自治財政局財政課財政企画官。
前知事の県政運営を引き継ぐ方針を掲げ、総務省でのキャリアで培った行政手腕を強調しました。
2014年1月15日に総務省を退職し、翌16日に立候補の意向を表明。1月20日に正式に出馬表明の記者会見を行い、同日付で自由民主党と公明党の推薦を得ました。

高邑 勉（たかむら つとむ） 氏
元衆議院議員（民主党）。前回の2012年知事選挙では3番目の得票数でした。
脱原発を主要な政策として掲げました。
2014年1月13日に立候補の意向が報じられましたが、一時、後述の飯田氏との候補者一本化を視野に出馬見送りを示唆しました。しかし飯田氏が見送りを決定したことを受け、1月29日に改めて出馬表明の記者会見を実施。生活の党の推薦を受けました。

藤井 直子（ふじい なおこ） 氏
共産党県委員会委員、元周南市議。
山口県知事選挙史上初の女性候補となりました。
2014年1月22日、革新系団体によって擁立が決定し、共産党の公認候補として立候補。1月27日に出馬会見を行いました。

また、前回知事選挙で次点となったNPO法人「環境エネルギー政策研究所」所長の飯田哲也氏は、今回も脱原発を掲げて出馬の意向が報じられましたが、再生可能エネルギーの普及促進活動に注力するためとして1月21日に出馬見送りを表明しました。飯田氏の会見には高邑氏も姿を見せ、出馬見送りの判断を撤回するよう求める一幕もありました。

主な争点

今回の選挙で特に注目された論点は以下の二点です。

中国電力による上関原子力発電所建設問題
立候補者のうち、高邑氏と藤井氏は建設計画の撤回を明確に求めました。一方、村岡氏はエネルギー政策は国が進めるべき課題であるとし、この問題への具体的な賛否の姿勢を明確にしませんでした。
アメリカ軍岩国基地問題
藤井氏が、米軍岩国基地の機能強化への強い反対を主張しました。

選挙の実施概要

選挙は2月6日に告示され、2月23日に投開票が行われました。当日の投票時間は午前7時から午後8時まででしたが、一部地域では2月22日に繰り上げ投票が実施されています。期日前投票は2月7日から2月22日まで行われました。

また、この知事選挙と同日に、山口県議会議員の欠員に伴う補欠選挙が、下関市、宇部市、山陽小野田市の各選挙区で実施されています（宇部市選挙区は無投票となりました）。

各党・団体の対応

主要政党・団体の対応は以下の通りです。

自由民主党・公明党：前回の選挙で山本氏を推薦した両党は、現県政の方向性を引き継ぐ候補として村岡氏を擁立・推薦しました。
日本共産党：元周南市議の藤井氏を党の公認候補として擁立しました。
生活の党：高邑氏への推薦を決定しました。
民主党山口県連：独自の候補者擁立を模索しましたが難航し断念。その後、立候補表明者との政策協議を経て推薦を検討しましたがまとまらず、結果として自主投票を選択しました。これは同党県連にとって3回連続の自主投票となりました。
* 連合山口：一方、民主党の主要な支持基盤である連合山口は村岡氏への推薦を決定しており、対応が分裂する形となりました。

選挙結果

2月23日の投開票の結果、元総務省官僚の村岡嗣政氏が初当選を果たしました。

投票率は38.82%となり、前回の45.32%から6.50ポイント低下。過去の山口県知事選挙と比較して3番目に低い投票率に留まりました。

当選した村岡氏は、前知事の山本県政継承を訴え、総務省などでの行政経験を強調するとともに、地域経済の活性化などを政策の中心に据えました。自民・公明両党からの手厚い支援を受け、両党の支持層に加え無党派層からの票も着実に固め、対立候補である高邑氏、藤井氏を大差で退け、初の当選を決めました。

前回に続き立候補した高邑氏は、前回の選挙からスタンスを変え、上関原発の建設計画撤回を強く訴え選挙戦を展開しました。しかし、現県政継承を掲げる村岡氏が原発政策への賛否について明確な言及を避け、争点化を回避する戦略を取ったため、高邑氏が最も訴えたかった原発論争は十分に深まりませんでした。また、保守色の強い山口県において、自民・公明両党の組織力に支えられた村岡氏には及ばず、高邑氏は前回に続いて敗れる結果となりました。

共産党の公認候補として出馬した藤井氏は、上関原発の建設計画撤回やアメリカ軍岩国基地の機能強化への反対を主張し、県政の刷新を訴えましたが、当選には至りませんでした。

なお、立候補者全員が有効投票総数の10%を上回る得票を得たため、供託金が没収された候補者はいませんでした。

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