2015年のラジオ (日本)

2015年の日本のラジオ業界は、技術的な大きな変革と番組の変化が同時期に進んだ、活気と節目が混在した一年でした。

まず、技術面では、AMラジオの難聴取対策を目的としたFM補完放送、通称「ワイドFM」の整備が全国各地で加速しました。年明けの鹿児島・南日本放送を皮切りに、秋田放送、愛媛・南海放送などが順次本放送を開始。特に年末の12月7日には、TBSラジオ、文化放送、ニッポン放送の在京大手AM3局が、東京スカイツリーから首都圏向けのワイドFM本放送を開始し、大きな節目となりました。これにより、都市部を含む広範囲でのAM番組のクリアな聴取が可能となりました。この他にも多くの地域で整備が進みました。

インターネットによるラジオ配信サービス「radiko」の展開も引き続き進み、radiko.jpプレミアムでの全国配信に対応する局が増えるなど、サービスエリアや利用形態が拡大し、リスナーの選択肢が広がりました。

一方、番組編成においては、長年にわたり親しまれてきた多くの看板番組が終了を迎え、時代の移り変わりを感じさせました。ニッポン放送の『福山雅治のオールナイトニッポンサタデースペシャル・魂のラジオ』は23年超、TBSラジオの『全国こども電話相談室』シリーズは1964年の開始から50年以上、文化放送の『スパカン!』シリーズは25年、ラジオ関西の『林原めぐみのHeartful Station』は24年といった長い歴史を持つ番組が次々と終了しました。NHKラジオ第1の朝の情報ワイド番組『ラジオあさいちばん』も16年の歴史に幕を下ろすなど、多くの長寿番組がその役割を終えました。

こうした番組終了と並行して、多くの局で大規模な改編が行われ、新しい試みが始まりました。TBSラジオでは、『土曜ワイドラジオTOKYO 永六輔その新世界』の後継にお笑いコンビ・ナイツがパーソナリティを務める番組がスタートし、永六輔氏自身も新たなトーク番組を開始しました。ラジオ日本は深夜帯をアイドル番組中心に刷新し、「ラジオ日本NEXT」枠を新設しました。文化放送も深夜帯を改編しました。人気番組のパーソナリティ交代もあり、『大竹まこと ゴールデンラジオ!』では月曜と火曜のパートナーが相次いで変更。ニッポン放送の『テレフォン人生相談』には、ドリアン助川氏や柴田理恵さんが新パーソナリティとして加わりました。

また、ラジオパーソナリティとして活躍した著名人や、ラジオ業界に貢献した人物たちの訃報も相次いだ一年でした。パックインミュージックなどで知られる愛川欽也氏、歌手や女優としてラジオ番組にも多数出演した川島なお美氏、ニッポン放送の番組で人気を博した落語家の橘家圓蔵氏、文化放送のステーションソングを手掛けた作詞家・作家の野坂昭如氏などが亡くなりました。若手パーソナリティの急逝や、声優の死去に伴う番組終了など、悲しい別れもありました。

その他、ジャパン・ラジオ・ネットワーク（JRN）と全国ラジオネットワーク（NRN）が共に結成60周年を迎えたほか、多くのFM局が開局周年を祝いました。ワイドFM開始を記念した在京AM3局共同制作の特別番組も放送されるなど、業界全体の連携を示す動きも見られました。

2015年は、技術革新による聴取環境の変化と、番組の世代交代が進んだ、日本のラジオ界にとって記憶に残る一年であったと言えるでしょう。

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