2015年の台風

2015年の台風

2015年は、太平洋北西部と南シナ海で発生した熱帯低気圧が、記録的なペースで発生し、数々の特異な現象が観測された年でした。気象庁のデータに基づき、合同台風警報センター（JTWC）の情報も参照しながら、2015年の台風を詳細に解説します。

2015年の台風の特徴

異例の発生ペース: 年明け早々の1月から台風が発生し、3月までに4つもの台風が発生。これは過去に例を見ないハイペースでした。その後も発生ペースは衰えず、5月には6号、7号が発生。7月初旬には3つの台風が同時に存在するという、珍しい状態も観測されました。
記録的な台風: 7月に発生した台風12号は、史上初の越境・復活・日本上陸という記録を達成しました。
毎月台風が発生: 12月にも台風が発生したことで、1951年の統計開始以来初めて、1月から12月まで毎月台風が発生した年となりました。しかし、1ヶ月で6個以上発生した月はなく、総数は27個でした。

各月の台風発生数

各月で発生した台風の数は以下の通りです。

1月: 1個
2月: 1個
3月: 2個
4月: 1個
5月: 2個
6月: 1個
7月: 4個
8月: 3個
9月: 4個
10月: 2個
11月: 1個
12月: 1個

個別の台風の詳細

以下に、2015年に発生した各台風の詳細を記述します。

台風1号（メーカラー）

発生: 1月14日
経路: フィリピン東方で発生し、フィリピンに上陸後、熱帯低気圧に。
被害: フィリピンで水害や土砂崩れが発生し、約11万人が被災。死者3名、被害額は約8.4億円。

台風2号（ヒーゴス）

発生: 2月8日
経路: マーシャル諸島付近で発生し、一時非常に強い勢力となるも、南鳥島近海で熱帯低気圧に。
特徴: 2月に存命した台風としては過去最大の勢力。

台風3号（バービー）

発生: 3月11日
経路: マーシャル諸島付近で発生し、フィリピンに接近後、熱帯低気圧に。
特徴: フィリピンでは警戒体制が敷かれた。

台風4号（メイサーク）

発生: 3月28日
経路: マーシャル諸島付近で発生し、急速に発達し猛烈な勢力となった後、フィリピンに上陸し熱帯低気圧に。
特徴: 3月に猛烈に発達した初の台風。

台風5号（ハイシェン）

発生: 4月4日
経路: チューク諸島近海で発生し、勢力をほとんど強めることなく熱帯低気圧に。
特徴: 1950年以降、最も早く発生した台風5号。

台風6号（ノウル）

発生: 5月4日
経路: チューク付近で発生し、フィリピン、沖縄を通過後、温帯低気圧に。
特徴: 一時、猛烈な勢力まで発達。

台風7号（ドルフィン）

発生: 5月9日
経路: カロリン諸島近海で発生、小笠原諸島に接近後、温帯低気圧に。
特徴: 過去最も早く発生した台風7号。

台風8号（クジラ）

発生: 6月21日
経路: 南シナ海で発生し、ベトナムに上陸後、熱帯低気圧に。
被害: 中国海南省やベトナムで洪水などの被害。

台風9号（チャンホン）

発生: 6月30日
経路: マーシャル諸島付近で発生し、日本に接近後、朝鮮半島で温帯低気圧に。
特徴: 梅雨前線を刺激し、日本各地で大雨。

台風10号（リンファ）

発生: 7月2日
経路: フィリピンの東で発生し、ルソン島に上陸後、華南で熱帯低気圧に。

台風11号（ナンカー）

発生: 7月4日
経路: マーシャル諸島付近で発生し、高知県室戸市付近に上陸後、日本海で熱帯低気圧に。

台風12号（ハロラ）

発生: 7月13日(日付変更線越え)
経路: ハワイ諸島南西で発生後、越境・復活し、長崎県佐世保市付近に上陸後、対馬海峡で熱帯低気圧に。
特徴: 史上初の越境・復活・日本上陸台風。

台風13号（ソウデロア）

発生: 7月30日
経路: マーシャル諸島付近で発生し、台湾に上陸後、華南で熱帯低気圧に。
特徴: 今年最強の猛烈な台風。

台風14号（モラヴェ）

発生: 8月7日
経路: 小笠原諸島近海で発生し、日本の東の海上を移動後、温帯低気圧に。
被害: 小笠原諸島で記録的な大雨。

台風15号（コーニー）

発生: 8月15日
経路: マリアナ諸島付近で発生し、熊本県荒尾市付近に上陸後、温帯低気圧に。
特徴: 石垣島で観測史上最大瞬間風速を記録。

台風16号（アッサニー）

発生: 8月15日
経路: ウェーク島近海で発生し、複雑な動きをしながら、日本の東の海上で温帯低気圧に。
特徴: 台風15号と同時に発生し、相互作用。

台風17号（キロ）

発生: 9月1日(日付変更線越え)
経路: ハワイの南海上で発生し、越境後、日本の東の海上で温帯低気圧に。

台風18号（アータウ）

発生: 9月7日
経路: 日本の南で発生し、愛知県知多半島に上陸後、温帯低気圧に。
被害: 関東地方で大雨、鬼怒川の堤防決壊。

台風19号（ヴァムコー）

発生: 9月14日
経路: 南シナ海で発生し、ベトナム、ラオスで熱帯低気圧に。
被害: インドシナ半島で大雨。

台風20号（クロヴァン）

発生: 9月16日
経路: グアム島の東で発生し、小笠原諸島に接近後、日本の東の海上で温帯低気圧に。
被害: 小笠原諸島で記録的短時間大雨。

台風21号（ドゥージェン）

発生: 9月23日
経路: フィリピンの東で発生し、台湾、中国に上陸後、熱帯低気圧に。
被害: フィリピンや台湾で甚大な被害。与那国島で最大瞬間風速81.1m/sを観測。

台風22号（ムジゲ）

発生: 10月2日
経路: フィリピン付近で発生し、中国に上陸後、熱帯低気圧に。
特徴: この台風限りでアジア名が使用中止。

台風23号（チョーイワン）

発生: 10月2日
経路: ウェーク島近海で発生し、日本の東の海上で温帯低気圧に。
特徴: 発生時、史上2番目の大きさ。

台風24号（コップ）

発生: 10月13日
経路: フィリピンの東で発生し、ルソン島中部に上陸後、熱帯低気圧に。

台風25号（チャンパー）

発生: 10月14日
経路: マーシャル諸島近海で発生し、日本の東の海上で温帯低気圧に。

台風26号（インファ）

発生: 11月17日
経路: マーシャル諸島で発生し、日本の南の海上で温帯低気圧に。

台風27号（メーロー）

発生: 12月11日
経路: カロリン諸島の北で発生し、フィリピンに上陸後、熱帯低気圧に。

気象庁が「台風」に分類しなかった熱帯低気圧

気象庁が台風として分類しなかった熱帯低気圧も多数存在しました。これらの熱帯低気圧は、合同台風警報センター（JTWC）によって観測されました。

その他の熱帯低気圧

TD(INVEST 90W): 7月2日、台風9号に吸収。
JMA TD 12(INVEST 94W): 7月2日、台風9号に吸収。
JMA TD 15: 7月14日発生、16日に台風11号に吸収。
JMA TD 16: 沖縄と九州南部で大雨。
TD 12W: 7月24日にJTWCが熱帯低気圧と解析したが、気象庁は台風に分類せず。
TD 14W: 8月1日発生、紀伊半島で局地的な雷雨。
TD 08C: 10月7日発生、低圧部に弱体化。
JMA TD 34: 10月20日、台風25号の東海上で発生。
TD 26W: 10月21日発生、停滞前線に吸収。
* TD 29W（オニョク): フィリピンに上陸後、低気圧に弱体化。

まとめ

2015年の台風は、発生数、発生ペース、特異な現象など、多くの点で記録的な年でした。これらの情報が、今後の防災対策や研究に役立つことを願います。

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