2016年アブダビグランプリ

2016年アブダビグランプリ：チャンピオン争いの決着と衝撃の引退発表

2016年F1世界選手権最終戦、アブダビグランプリは、ヤス・マリーナ・サーキットで11月27日に開催されました。このレースでは、ニコ・ロズベルグとルイス・ハミルトンのドライバーズチャンピオン争いが最終決戦を迎えることとなり、世界中のモータースポーツファンが注目しました。

レース前：タイトル獲得条件と様々な動き

最終戦を前に、ロズベルグはハミルトンに12ポイントのリードを付けていました。ロズベルグが3位以上でフィニッシュすれば、ハミルトンの順位に関わらず初タイトル獲得となります。一方、4位以下になった場合、ハミルトンの順位によって逆転の可能性が残されていました。具体的には、ロズベルグが4～6位ならハミルトンが優勝、7～8位なら2位以上、9位以下もしくはリタイアなら3位以上でハミルトンがチャンピオンとなる状況でした。

このレースがF1キャリアの最終戦となったジェンソン・バトンは、2009年ワールドチャンピオン獲得時のイエローヘルメットを着用して出場。また、長年マクラーレンに携わったロン・デニスが会長兼CEOを辞任し、ザック・ブラウンがエグゼクティブディレクターに就任することが発表されるなど、チーム事情にも変化が見られました。さらに、ザウバーがマーカス・エリクソンの残留を発表、レッドブルはタグ・ホイヤーとのパートナーシップを延長するなど、2017年シーズンを見据えた動きも活発でした。

フリー走行と予選：ハミルトンのポールポジション

フリー走行では、ハミルトンがFP1とFP2でトップタイム、ベッテルがFP3でトップタイムを記録しました。予選では、ハミルトンが全セッションでトップタイムをマークし、4戦連続、シーズン12回目のポールポジションを獲得。ロズベルグは2位グリッドとなりました。

決勝：ロズベルグの戴冠とハミルトンの戦略

決勝レースは、ハミルトンが4連勝を達成しました。しかし、ロズベルグが2位でフィニッシュしたため、ロズベルグが初のドライバーズチャンピオンに輝きました。これは、彼の父ケケ・ロズベルグも1982年にチャンピオンを獲得していることから、親子2代でのチャンピオン獲得という快挙となりました。3位にはベッテル、4位にはフェルスタッペンが続きました。

注目すべきは、ハミルトンのレース運びです。ハミルトンは、意図的にペースを落とし、ロズベルグを後続勢とのバトルに巻き込む戦略を取ったと見られています。この戦略によって、レース終盤ではロズベルグ、ベッテル、フェルスタッペンによる激しいバトルが展開されましたが、ロズベルグは2位をキープし、タイトルを獲得しました。

レース後：衝撃の引退発表と余波

レース終了からわずか5日後の12月2日、ロズベルグは電撃的にF1からの引退を発表しました。チャンピオン獲得後すぐに引退するドライバーは、1993年のアラン・プロスト以来のことでした。また、ハミルトンが決勝で意図的にペースダウンした行為がチーム命令違反に当たる可能性もあったものの、ロズベルグの引退によって処分は検討されませんでした。

2016年アブダビグランプリは、チャンピオン争いの決着だけでなく、ロズベルグの引退発表という衝撃的な出来事が加わり、F1の歴史に刻まれるレースとなりました。様々な思惑が交錯し、ドラマチックな展開を見せたこのレースは、多くのファンに忘れられない記憶として残ることでしょう。

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