2016年シリア人民議会選挙

2016年シリア人民議会選挙

2016年4月13日に実施されたシリア人民議会選挙は、国の立法府である人民議会の議員を選出することを目的とした重要な選挙でした。この選挙はシリア内戦の真っ只中で行われ、実質的にはアサド政権が支配する地域のみで実施されました。反体制派による選挙ボイコットが行われたため、アサド政権与党であるアラブ社会主義バアス党（BASP）が圧倒的な勝利を収める結果となりました。

選挙に至る背景

シリアでは2011年から続く内戦が進行し、アサド政権と反体制派、さらにはISILを含む複雑な勢力図が形成されていました。この内戦には西側諸国も介入し、和平協議が求められる状況でした。2016年2月22日、アメリカのバラク・オバマ大統領とロシアのウラジーミル・プーチン大統領の電話会談で停戦合意が発表され、この機会を利用しアサド大統領は選挙を実施する大統領令を発令しました。

選挙は2012年5月以来約4年ぶりであり、各県に対する議席配分も示されましたが、この選挙は国連主導の和平プロセスの最中で開催されることとなったため、反体制派からは強い批判の声が上がりました。特に、シリアの主要な反体制組織である高等交渉委員会（HNC）はこの選挙を「違法」とし、ボイコットを呼びかけました。さらに、イギリスやフランスなどの西側諸国も選挙の正当性に疑問を呈し、アサド政権に対する圧力を強めました。

選挙の実施

選挙実施日は、アサド政権の支配地域に住む約6割の人口を対象に、約7,200の投票所が設置され、選挙が行われました。この時の有権者数は約8,830,000人、そのうち509万人が投票を行い、投票率は57.56%に達しました。選挙には約3,500人が立候補し、250議席の定数を争いました。

選挙結果

選挙結果は4月16日に発表され、予想通りアサド政権の与党連合が約80%にあたる200議席以上を獲得しました。これにより、アサド政権は立法機関における支配を一層強化することとなり、政治的な力を維持し続ける結果となりました。

この選挙は、内戦と国際的な政治状況が絡み合う中で行われた特異なものであり、今後のシリア情勢に対する影響も注目されています。シリアの人々にとっては民主的な政治参加が困難な状況が続いた一方で、アサド政権の正当性を内部から強める手段として利用されたとも言えます。

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