2016年ヨーロッパグランプリ

2016年ヨーロッパグランプリ：バクーの街路を舞台に繰り広げられた戦いの記録

2016年6月19日、アゼルバイジャンの首都バクー。F1世界選手権第8戦、ヨーロッパグランプリが、初めてこの街路コースで開催されました。このレースは、多くのドラマと波乱に満ちた展開を見せました。

レースウイーク：予兆と準備

ピレリは、このレースのためにスーパーソフト、ソフト、ミディアムの3種類のタイヤを供給しました。また、このレースを前にレッドブルのダニエル・リカルドは、2018年までの契約延長を発表しました。

フリー走行：新たなコースへの挑戦

金曜日のフリー走行1回目（FP1）は、初開催のコースということもあり、多くのマシンがエスケープゾーンに逃れたり、スピンやクラッシュを繰り返しました。特に15コーナーは危険箇所として浮き彫りになり、複数のドライバーがコースアウトしました。リカルドのクラッシュによる赤旗中断もあったなど、混乱を極めました。セッショントップタイムはハミルトンが記録しましたが、多くのマシンが縁石によるタイヤダメージを受け、FIAはドライバーに注意を促しました。

FP2では、ハミルトンが再びトップタイムを記録。一方、フェラーリ勢は苦戦しました。セッション後、FIAは危険な縁石を撤去し、ピットロード入口の白線を変更するなど、コースの修正が行われました。また、ピレリはドライバーからの批判を受け、タイヤの最低空気圧を引き下げました。

土曜日のFP3では、ボッタスがピットロード出口でのアクシデントでマシンの損傷を負い、タイム計測を断念。一方、好調だったフォース・インディアのペレスは、15コーナーでクラッシュ。このクラッシュにより、ペレスはギアボックス交換を余儀なくされ、決勝レースでのグリッド降格ペナルティが決まりました。このセッションもハミルトンがトップタイムでした。

予選：ロズベルグのポールポジション獲得

予選では、ロズベルグがポールポジションを獲得しました。ボッタスは予選でF1最高速度となる378km/hを記録するなど、スピードの競演が繰り広げられました。Q1とQ2ではロズベルグが圧倒的な速さでトップを走り、ハミルトンはコースアウトするなどミスが目立ちました。Q3では、ハミルトンのクラッシュによる赤旗中断があり、中断後のアタック合戦でロズベルグはポールポジションを堅持。ハミルトンは「バクーは高速道路だ」とコメントしました。ペレスはギアボックス交換のため降格、リカルドとベッテルは同タイムでしたが、先にタイムを出したリカルドが3位となりました。

決勝：ロズベルグのグランドスラム達成

決勝レースは晴天、ドライコンディションで行われました。ロズベルグはスタートからトップを走り続け、一度も首位を譲ることなくポール・トゥ・ウィンを達成。48周目にはファステストラップも記録し、グランドスラムを達成しました。一方、ハミルトンはパワーユニットに問題を抱え、大きく順位を落としました。ペレスは好走を見せ、表彰台を獲得しました。マクラーレン・ホンダはストレートの長いコースに対応できず、バトンは11位、アロンソはリタイアと、苦戦を強いられました。ライコネンはペナルティを受けました。観客席には空席が目立ちましたが、ティルケ設計のコースは安全性を証明し、セーフティーカー導入やクラッシュは発生しませんでした。コースの狭さや、イスラム教徒への配慮が見られるなど、バクーの街路レースならではの特色が感じられました。

まとめ：新たな挑戦とドラマの舞台

2016年ヨーロッパグランプリは、初めてのバクー開催ということもあり、多くのドラマと波乱が詰まったレースとなりました。ロズベルグの圧勝、ハミルトンの苦戦、新旧勢力のせめぎ合い、そしてコースの特徴など、このレースは多くの話題を提供しました。バクー市街地コースは、F1の歴史に新たな一ページを刻みました。

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