2017年のラジオ (日本)

2017年の日本のラジオ界

2017年の日本のラジオ業界は、時代の流れと共に様々な動きが見られた一年でした。特に年明けは、前年末のSMAP解散に伴うメンバー個々のレギュラー番組の改編が注目を集めました。高橋みなみと朝井リョウによるニッポン放送の新しい番組がスタートしたほか、草彅剛と香取慎吾のbayfmの番組はタイトルを変更して継続。また、稲垣吾郎の文化放送、中居正広のニッポン放送の番組も新たなタイトルで再出発し、メンバーがそれぞれの道でラジオパーソナリティを務め続けることとなりました。

長きにわたり愛された番組が次々とその歴史に幕を下ろしたことも、2017年のラジオ界の大きな特徴です。46年の歴史を持つTOKYO FM系の洋楽ランキング番組『コスモ ポップス ベスト10』や、40年間続いたNHK-FMのトーク番組『日曜喫茶室』、さらには50年以上の歴史を持つ四国放送のラジオドラマ『交通戦争あなたの場合』やNHK-FMの民謡番組『日本の民謡』が終了。文化放送では、吉田照美とみのもんたという長年帯番組を担当してきたアナウンサーの冠番組が相次いで最終回を迎えました。また、TBSラジオのプロ野球中継『エキサイトベースボール』も59年の歴史に幕を下ろすことが発表され、ファンに惜しまれました。

一方で、新しい番組も数多く誕生しました。ニッポン放送では吉田拓郎が約3年半ぶりにラジオパーソナリティを担当する新番組を開始。TBSラジオではミュージシャンの吉田山田の番組がPodcastから地上波に進出しました。文化放送では声優の阿澄佳奈がパーソナリティを務めるアニラジとしては初となる昼ワイド番組が始まるなど、多様なジャンルの番組が登場しました。また、俳優の菅田将暉がニッポン放送『オールナイトニッポン』の新たなパーソナリティに就任したことも話題となりました。

ワイドFM（FM補完放送）の開局も各地で進展しました。長崎、佐賀、熊本、鳥取、福島、静岡、山口、宮城、青森、鹿児島、石川、沖縄、山梨、栃木など、全国各地で新しいFM中継局の運用が始まり、AMラジオ局の番組が高音質で楽しめるエリアが拡大しました。沖縄ではラジオ沖縄と琉球放送がワイドFM開局記念の共同特別番組を制作・放送し、地域に根ざしたラジオ局間の連携も見られました。

聴取率の動向では、関東地区でTBSラジオが個人聴取率の単独首位を継続し、その強さを示しました。

ラジオが速報媒体としての役割を果たす場面も多く見られました。森友学園問題に関する籠池泰典氏の証人喚問の模様がNHKラジオ第一で生中継されたほか、東京都議会議員選挙や第48回衆議院議員総選挙の開票特別番組が各局で編成されました。また、北朝鮮の弾道ミサイル発射時には、NHKや民放各局が番組内容を差し替えて速報を伝えるなど、緊迫した情勢を伝えるライフラインとしても機能しました。

スポーツ中継では、ワールド・ベースボール・クラシック（WBC）の日本代表戦が文化放送とニッポン放送で、夏の全国高校野球選手権大会がNHKラジオ第一と朝日放送（当時ABCラジオ）で中継されました。プロ野球のクライマックスシリーズや日本シリーズも、出場球団の地元局を中心に熱戦の模様が伝えられました。

著名人の逝去も相次ぎ、かまやつひろし、藤村俊二、京唄子、安西愛子、日野原重明、平尾昌晃、諸口あきらといった、ラジオ番組でも活躍した方々を多くのリスナーが悼みました。

技術・サービス面では、民放ラジオ局によるスマートフォン向けコンテンツ配信サービス「ラジオクラウド」が開始され、番組を聴くスタイルに新たな選択肢が加わりました。NHKは民放連との共同キャンペーンの一環として、radiko.jpでの番組実験配信を実施し、インターネットでのラジオ聴取の可能性を広げました。また、AbemaTVが「ラジオチャンネル」を開設し、全国のラジオ局の番組配信を開始するなど、ラジオコンテンツの新しい展開が見られました。

2017年は、長寿番組の終了や新たなメディアへの対応など、ラジオ業界にとって変化と挑戦の年であったと言えるでしょう。

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