2017年の航空

2017年の航空

2017年は、航空業界において事故や事件、技術革新、そして路線の拡大など、さまざまな出来事が複合的に発生した一年でした。

年の始まりには、アメリカ合衆国フロリダ州のフォートローダーデール・ハリウッド国際空港で銃撃事件が発生し、空港の安全性が問われる事態となりました。続いて、キルギスのビシュケクでは貨物機が着陸に失敗し、乗員と地上の住人に多数の犠牲者が出るという痛ましい事故が起きました。その後も、レソト国防軍のヘリコプター墜落、ミャンマー空軍機の墜落、ペルビアン航空機の着陸失敗、ヴァラン・インターナショナル機の墜落など、複数の航空事故が発生しています。9月には、エールフランス機のエンジンが飛行中に損傷するという重大なインシデントも発生しました。

運航上のトラブルも報告されています。フランスのシャルル・ド・ゴール空港を出発しようとした日本航空機では、定員超過が発覚し、出発を取りやめるという事態が発生しました。これは搭乗券の二重発行や確認ミスが原因とされています。また、韓国空軍のF-16戦闘機が演習中に空中給油の支障により、日本の横田基地に緊急着陸するという出来事もありました。

技術革新の面では、多数の新型機が初飛行を行ったことが注目されます。特に中国商用飛機（COMAC）のジェット旅客機C919と、ロシアのイルクートが開発するMC-21-300が相次いで初飛行に成功しました。これらの機体は、世界の航空機市場における新たな競争相手となる可能性を秘めています。また、エンブラエルE-Jet E2シリーズの大型機E195-E2、エアバスA319neoおよびA330neo-900、ボーイング787-10および737MAX 9といった主要メーカーの新型派生型や最新鋭機も次々と空に舞い上がっています。これらに加え、アントノフAn-132やロッキード・マーティンLM-100J、インドネシアン・エアロスペースN-219、スケールド・コンポジッツ401、さらには垂直離着陸機であるベルV-280 Valorや水陸両用機であるAVIC AG600など、様々なタイプの新しい航空機が開発段階を進めました。

路線の拡大も活発でした。カタール航空は、ドーハとニュージーランドのオークランドを結ぶ、当時の無着陸での最長飛行距離となる便の運航を開始しました。日本関係では、全日本空輸（ANA）がエアバスA320neoの初号機を上海線に投入しました。また、春秋航空日本が東京発ハルビン・天津線に、オーロラ航空とS7航空がそれぞれウラジオストクと日本の都市（東京、関西）を結ぶ路線に就航しました。チェジュ航空も、ソウル/仁川からウラジオストクへ、そして松山からソウル/仁川への新たな路線を開設しています。この年は、ANAの社長が交代し、平子祐志氏が新たなトップに就任するという人事の動きもありました。

2017年は、安全運航という航空の根幹に関わる課題に直面しつつも、新型機の開発競争が進み、国際的な航空ネットワークが着実に広がりを見せた一年であったと言えるでしょう。

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