2018年平昌パラリンピック

2018年 3月9日から3月18日までの10日間、大韓民国の江原道平昌を舞台に、第12回冬季パラリンピックが開催されました。「平昌2018」とも称されるこの大会は、世界中から集まったパラアスリートたちが技を競い合い、観衆に深い感動を与えました。

大会の規模と参加

この大会には、過去最多となる49の国と地域から、総勢563名の選手団が参加しました。特に、ジョージア、タジキスタン、そして朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）は冬季パラリンピックへの初出場を果たし、大会に新たな広がりをもたらしました。

ロシア選手の参加を巡る問題

大会に先立ち、2016年に発覚したロシアにおける国家主導のドーピング疑惑は、大きな影を落としました。この問題を受け、国際パラリンピック委員会（IPC）は、ロシアパラリンピック委員会に対して、予選への参加を認めないという厳しい措置をとりました。これは、2016年のリオデジャネイロパラリンピックと同様の対応でした。しかし、ドーピングに関するIPCの規程を遵守していることを個別に証明できた一部のロシア選手は、「中立パラリンピック選手」(NPA)として、国旗や国歌に代わるパラリンピックのシンボルの下、個人資格での出場が認められました。

実施競技と会場

大会では、冬季パラリンピックの主要6競技が実施されました。

アルペンスキー
スノーボード
バイアスロン
クロスカントリースキー
パラアイスホッケー
車いすカーリング

競技会場は、平昌山間部（マウンテンクラスター）と江陵沿岸部（コースタルクラスター）に分かれて配置されました。開閉会式は平昌オリンピックスタジアムで行われ、アルペンスキーとスノーボードは旌善アルペンセンター、バイアスロンとクロスカントリースキーはアルペンシア・バイアスロンセンター、パラアイスホッケーは江陵ホッケーセンター、車いすカーリングは江陵カーリングセンターがそれぞれ舞台となりました。

大会を彩るエピソード

大会の公式マスコットは、韓国を象徴するツキノワグマをモチーフにした「バンダビ」でした。競技中には、記憶に残る場面も多く生まれました。例えば、クロスカントリースキー男子1.5kmスプリントクラシカル立位では、カナダのマーク・アレンツ選手とフィンランドのイルッカ・トゥオミスト選手が同時にゴールし、写真判定でも差がつかず、両選手が銅メダルを獲得するという珍しい出来事がありました。

また、優れた功績を残したパラアスリートに贈られるファン・ヨンデ功績賞は、ニュージーランドのアルペンスキー選手アダム・ホールとフィンランドのノルディックスキー選手シニ・ビューに授与されました。

開会式の光景

2018年 3月9日夜に行われた開会式は、平昌オリンピックスタジアムで盛大に開催されました。総合演出はコ・ソヌン氏が担当し、希望と共生をテーマにした印象的なパフォーマンスが披露されました。最終聖火ランナーは、韓国の車いすカーリング男子代表のソ・スンソク選手と、平昌オリンピックで活躍した女子カーリング「カーリング女子」チームの金恩貞選手という異色の組み合わせが務めました。選手の入場行進はハングルの読み仮名順で行われました。当初は、平昌オリンピックと同様に韓国と北朝鮮の合同入場行進が計画されていましたが、直前になって北朝鮮側が国旗に関する条件を主張し、合同行進は実現しませんでした。

日本における放送体制

日本国内においては、日本放送協会（NHK）がこの平昌大会から2024年のパリパラリンピックまでの独占的な放送権を獲得していました。この権利には、テレビ放送だけでなく、ラジオ放送やインターネット配信、モバイルでの視聴も含まれていました。NHKでは、開閉会式の生中継をはじめ、日本人選手が出場する主要な競技を中心に、総合テレビ、Eテレ、BS1といった複数のチャンネルで中継や録画放送を実施しました。さらに、音声多重放送の副音声を利用した、聴覚に障害のある方々向けの詳しい実況放送も行われました。

まとめ

平昌パラリンピックは、様々な困難を乗り越え、世界中のパラアスリートたちが最高のパフォーマンスを発揮する場となりました。この大会を通じて、パラリンピックムーブメントへの関心は一層高まり、共生社会の実現に向けたメッセージが力強く発信されました。

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