2019年2月米朝首脳会談

2019年2月米朝首脳会談

2019年2月27日と28日に、ベトナムのハノイで、アメリカのドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩国務委員長兼朝鮮労働党委員長による2回目の米朝首脳会談が開催されました。この会談は、2018年6月にシンガポールで行われた初の米朝首脳会談に続くもので、朝鮮半島の非核化に向けた進展が期待されていました。

会談に至る経緯

2018年6月の首脳会談後、アメリカは北朝鮮との再会談を模索していました。2019年2月5日、トランプ大統領は議会での一般教書演説で、2月27日と28日に金正恩委員長と再び会談することを発表しました。

開催地の選定

当初、会談の開催地は様々な候補が挙がっていました。アメリカのハワイ州、モンゴルのウランバートル、朝鮮半島の板門店、インドネシアなどが候補に挙がりましたが、アメリカ政府はベトナムのダナンを提案しました。しかし、北朝鮮側はベトナム政府との会談も希望していたため、利便性を重視し、首都ハノイでの開催を求めました。最終的に、両国の調整により、ハノイでの開催が決定しました。

会談までの準備

会談に先立ち、両国は様々な協議を重ねました。2019年1月21日には、スウェーデンでアメリカ、北朝鮮、韓国の3者協議が実施されました。また、2月6日から8日にかけて、アメリカのビーガン北朝鮮担当特別代表が北朝鮮を訪問し、実務者協議を行いました。さらに、2月21日から26日には、ハノイで再び実務者交渉が行われました。

2月23日には、金正恩委員長が専用列車で平壌を出発し、中国を経由してベトナムに向かいました。2月26日には、ハノイに到着し、首脳会談に臨みました。

会談の内容

2月27日の初日は、通訳を介した1対1の会談と夕食会が行われました。夕食会には、ポンペオ国務長官や金英哲朝鮮労働党副委員長らが同席しました。2月28日には、再び1対1の会談が行われた後、拡大会談が行われましたが、昼頃には交渉が決裂状態となり、予定されていた昼食会はキャンセルされました。

会談の詳細な内容は公表されていませんが、アメリカ側は「核施設、化学兵器、生物兵器プログラムと関連施設、弾道ミサイル、ミサイル発射装置の完全な廃棄」を提案しました。一方、北朝鮮側は寧辺核施設の廃棄と経済制裁の解除を要求しました。両者の主張には大きな隔たりがあり、合意文書の署名には至りませんでした。

会談後、トランプ大統領は記者会見を行い、アメリカに帰国しました。会談が決裂に終わったものの、トランプ大統領が金正恩委員長に帰国の際、大統領専用機での送迎を提案していたことが後に明らかになりました。

会談の評価

会談は、非核化を巡る意見の不一致により、合意文書は調印されませんでした。アメリカ側は、北朝鮮が全面的な制裁解除を求めたためだと主張し、北朝鮮側は、部分的な制裁緩和のみを要求したと反論しました。

ジョン・ボルトン大統領補佐官は、首脳間の関係が深まったとして会談の成果を強調しましたが、民主党のアダム・シフ下院情報特別委員会委員長は会談は失敗だったと断じました。

後年、ポンペオ国務長官は、金正恩委員長が習近平国家主席から事前に指導を受けていたと述べ、北朝鮮側が実現性の低い提案を出さざるを得なかったため、会談が決裂したと分析しました。

北朝鮮側は、会談不調を受け、金正恩委員長が「なぜこんな汽車旅行をしなければならないのか」と不満を漏らしたと伝えられています。その後、北朝鮮はアメリカとの交渉中断や核実験・ミサイル実験猶予の撤回を検討し始めました。

日本政府の対応

日本政府は、ハノイに金杉憲治外務省アジア大洋州局長を派遣し、情報収集と日米間の連携を図りました。

まとめ

2019年2月の米朝首脳会談は、両国の意見の隔たりが大きく、合意に至らなかったものの、米朝間の対話の重要性を示唆する出来事となりました。この会談は、朝鮮半島の非核化問題の難しさを改めて浮き彫りにするとともに、今後の米朝関係の行方を左右する重要な転換点となりました。

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