2020 VV

小惑星2020 VV

小惑星2020 VVは、直径が約12メートル（40フィート）の地球近傍小惑星です。軌道の特性からアポロ群に分類されています。この小惑星は、将来的に地球へ接近または衝突する可能性が指摘されており、科学者たちの監視対象となっています。

発見とその軌道

2020 VVは、2020年11月5日に発見されました。発見時、地球からの距離は約540万キロメートル（0.036 AU）で、太陽とは150度の角度に位置していました。

この小惑星の軌道は、黄道面に対する傾き（軌道傾斜角）が0.35度と非常に小さいことが特徴です。また、地球軌道との最小交差距離（MOID）はわずか14,800キロメートルと小さく、地球に比較的近い軌道を通ることが示されています。発見前の2020年10月21日にも、地球から約322万キロメートル（0.0215 AU）の距離まで接近していました。

2033年の地球接近と衝突可能性

最も注目されているのは、2033年の地球への接近です。軌道計算によると、最も近い接近は2033年10月15日を中心とした前後5日間の誤差を伴い、地球から約82万キロメートル（0.0055 AU）まで接近すると予測されています。一方で、約270万キロメートル（0.018 AU）まで接近して通過するという予測も存在します。

衝突の可能性については、複数の機関が独自に計算を行っています。アメリカ航空宇宙局（NASA）の小惑星監視システム「セントリー」は、2033年10月12日（協定世界時11時43分）に地球と衝突する確率が1.3%（77分の1）であると算出しています。この他にも、イタリアのNEODyS-2や欧州宇宙機関（ESA）のSSAプログラムなども確率を計算しており、モデルの違いにより算出される数値には差異が見られます。

例えば、発見直後の2020年11月17日頃には、SSAプログラムが4.2%、セントリーが2.8%、NEODyS-2が累積5.9%の確率を示していました。その後、観測が進み、2020年11月20日時点で観測期間が15日間となった際には、NEODyS-2が4.4%、セントリーが1.3%、SSAプログラムが1.6%と、確率は変動しました。

これらの予測には、発見からの観測期間がわずか18日間と非常に短いことが影響しています。観測期間が短いと、小惑星の正確な軌道要素を決定することが難しくなり、将来の軌道予測に大きな不確実性が生じます。既知の軌道のわずかな誤差が、将来の接近時期や距離に前後のずれをもたらす可能性があるため、より正確な予測にはさらなる観測データが不可欠です。

衝突時の影響と分類

万が一、2020 VVが地球に衝突した場合、その直径（約12メートル）から推定される影響は限定的と考えられます。その直径が10～22メートル程度であれば、2013年にロシアのチェリャabinsk州に落下し、局地的な被害をもたらした隕石と同程度の規模となる可能性が指摘されています。衝突地点となりうる地域として、アメリカ北東部、スペイン、サウジアラビア、インド、中国といった地域の上空付近が挙げられています。

潜在的に危険な小惑星（PHO）は、一般的に直径約140メートル以上で地球軌道に接近する天体を指します。2020 VVは、このPHOの基準より大幅に小さいため、PHOには分類されていません。

現時点での衝突確率は低いものの、短い観測期間による不確実性が残るため、今後の追加観測により軌道がより正確に定まることが期待されています。これにより、将来的な地球への影響評価がより確実なものとなるでしょう。

関連項目

2013年チェリャビンスク州の隕石落下
地球近傍小惑星
潜在的に危険な小惑星（PHO）
セントリー（小惑星監視システム）

もう一度検索