2020年のインディカー・シリーズ

2020 NTT IndyCar Series: 新たな時代と未曽有の困難

2020年シーズンは、インディカー・シリーズにとって25周年という節目の年でした。しかし、このシーズンは、ペンスキーによるシリーズ買収という新たな時代の幕開けと同時に、新型コロナウイルス感染症の世界的流行という未曽有の困難に見舞われました。

シリーズの大きな転換点:

2019年、チーム・ペンスキーのオーナーであるロジャー・ペンスキーがインディアナポリス・モーター・スピードウェイとIndyCarシリーズを買収しました。これは、1945年以来のスピードウェイ所有権変更であり、シリーズの歴史に大きな転換をもたらす出来事となりました。また、2019年には、ドライバーの安全性を高めるため、F1で使用されているハローとエアロスクリーンを組み合わせたコックピット保護装置の導入が発表されました。

参戦チームとドライバーの変遷:

このシーズンは、チームやドライバーの構成にも大きな変化が見られました。F1チームであるマクラーレン・レーシングがアロー・シュミット・ピーターソン・モータースポーツと提携してアロー・マクラーレンSPを結成し、シリーズに参戦。アンドレッティ・オートスポーツはチーム体制を拡大し、新たなドライバーを迎え入れました。メイヤー・シャンク・レーシングはフルタイム参戦へとステップアップ。デイル・コイン・レーシングはル・マン24時間レース優勝チームとのパートナーシップを発表しました。これらのチームに加え、既存のチームもドライバーの変更や体制強化を行い、シーズンに臨みました。

新型コロナウイルスの影響:

新型コロナウイルスのパンデミックは、シーズンに大きな影を落としました。当初のスケジュールは大幅に変更を余儀なくされ、多くのレースがキャンセル、延期されました。開幕戦は観客を入れずに開催されることとなり、その後、数々のレースがキャンセルされる事態となりました。シリーズは、「5月のインディ」として知られるインディアナポリス500を軸に、大幅に縮小されたスケジュールでシーズンを再開しました。レース開催にあたっては、観客数の制限や、ソーシャルディスタンスの確保といった新型コロナウイルス対策が徹底されました。レース自体も、周回数の削減や、タイヤスティントの制限といった変更が加えられました。これらの変更は、パンデミック下でのレース開催を可能にするための苦渋の決断でした。

レース結果とタイトル争い:

困難な状況の中、レースは繰り広げられました。佐藤琢磨選手は、第104回インディアナポリス500で優勝を果たし、日本勢として大きな勝利を挙げました。ドライバーズタイトルはスコット・ディクソン選手が、マニュファクチャラーズタイトルはホンダが3年連続で獲得しました。ルーキー・オブ・ザ・イヤーにはリヌス・ヴィーケイ選手が輝きました。

ポイントシステム:

ポイントシステムにも変更が加えられました。ポールポジション獲得、ラップリード、そしてレースでの順位などによってポイントが加算され、ドライバーとマニュファクチャラーのランキングが決定されました。ポイントが同数の場合は、勝利数、2位、3位、そして前戦の結果といった順位で決定され、それでも決まらない場合は抽選となりました。

2020シーズンは、ペンスキーによるシリーズ買収、新型コロナウイルスの影響、そして数々のドラマが交錯した、インディカー・シリーズの歴史に刻まれるシーズンとなりました。

関連事項:

2020 Indy Lights (キャンセル)
2020 Indy Pro 2000 Championship
* 2020 U.S. F2000 National Championship

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