2020年のラジオ (日本)

2020年の日本のラジオ業界は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行という未曽有の事態に直面し、大きな変革を余儀なくされました。春以降、イベントの中止や延期が相次ぎ、公開収録やリスナー参加型の企画は軒並み見直しを迫られました。多くの番組でリモート出演が導入され、パーソナリティが自宅から放送を行うなど、「新しい生活様式」に対応した放送形態が模索されました。また、医療従事者を応援する合同プロジェクトや、自宅で楽しめるASMR特番のようなユニークな企画も生まれました。

番組の改編も活発に行われました。ニッポン放送では平日午後の帯番組が刷新され、ナイツと中川家による「ザ・ラジオショー」がスタート。TBSラジオでは夕方から夜にかけてのワイド番組が大きく変わり、「ACTION」が終了し、「荻上チキ・Session-22」が夕方帯の「Session」としてリニューアル、新たに「アシタノカレッジ」が夜帯に始まりました。TOKYO FMでは長年続いた「高橋みなみの これから、何する？」に代わり、乃木坂46の山崎怜奈が初の冠帯番組「山崎怜奈の誰かに話したかったこと。」を担当するなど、新たな顔ぶれが登場しました。

一方で、長寿番組が歴史に幕を下ろした年でもありました。久米宏が13年9ヶ月にわたり続けたTBSラジオ「久米宏 ラジオなんですけど」や、美輪明宏の「薔薇色の日曜日」が16年半で終了。ニッポン放送「大倉くんと高橋くん」は5年間の放送を終えました。また、ラジオNIKKEIの「「勝負」シリーズ」が約40年の歴史に幕を閉じるなど、多くのリスナーに親しまれた番組が最終回を迎えました。

著名人のラジオ界での動きも注目されました。俳優の林原めぐみやコサキン（小堺一機・関根勤）がそれぞれ数年ぶりに特別番組で復活したほか、ジェットストリームのパーソナリティが11年ぶりに大沢たかおから福山雅治に交代、TOKYO FM「SCHOOL OF LOCK!」もパーソナリティがとーやま校長からさかた校長とこもり教頭に引き継がれました。また、タレントの藤田ニコルや、フリーアナウンサーの有働由美子、安東弘樹が新たなレギュラー番組を開始しました。

新型コロナウイルス関連では、タレントの住吉美紀や爆笑問題の田中裕二が感染により一時番組を休演したことが報じられました。また、一部出演者の不祥事による番組降板や、番組内での不適切発言に関する騒動（ナインティナイン岡村隆史など）もありました。お笑いコンビ・アンタッチャブルは、柴田の活動自粛による中断を経て「シカゴマンゴ」の11年越しの最終回特番をコンビで放送し、話題を呼びました。

業界全体の動きとしては、IPサイマルラジオサービス「radiko」が10周年を迎え、未配信だったFM局が全てサービスに参加し、日本の民放ラジオ99局がradikoに対応完了しました。また、V-Low帯マルチメディア放送サービス「i-dio」が放送を終了しました。各放送局では、開局周年や放送開始・終了の節目を迎え、新社屋への移転やCIの変更なども行われました。年間を通じて、ラジオパーソナリティや関係者の訃報も複数伝えられ、追悼番組が放送されました。

2020年は、パンデミックによる困難の中で、ラジオがリスナーとの繋がりを改めて模索し、新たな放送スタイルや企画に挑戦した一年であり、同時に多くの節目を迎えた年となりました。

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