2020年のMotoE

2020 FIM Enel MotoE World Cup: 激動のシーズンとジョルディ・トーレスの栄光

2020年のMotoE世界選手権は、FIMロードレース世界選手権の電動バイククラスとして2年目を迎えました。この年は、新型コロナウイルスの世界的な流行により、未曽有の困難に見舞われたシーズンとなりました。当初予定されていたグランプリの一部がキャンセルや延期を余儀なくされ、シーズン全体のスケジュールは大幅に変更されました。しかし、そんな逆境の中でも、白熱したレース展開と、新たな才能の台頭が見られました。

新型車両とライダー変更

全チームがエネルジカ・エゴ・コルサという統一車両を使用する中、ライダー陣容には大きな変化がありました。 シャビエ・カルデルスはアヴィンティア・エスポンソラマ・レーシングに移籍し、ドミニク・エガーターはダイナボルト・インタクトGPにデビューを果たしました。ジョルディ・トーレスは、このシーズンでMotoEに初参戦し、ポンス・レーシング40チームに加入。さらに、アレハンドロ・メディーナがオープンバンク・アスパル・チーム、ルーカス・トゥロヴィッチとトンマーゾ・マルコンがテック3 E-Racingに加わるなど、チーム編成は大きく変動しました。アレッサンドロ・ザッコーネはトレンティーノ・グレシーニMotoEに、ヤクブ・コーンフェールはWithUモータースポートに加入するなど、多くのライダーが新たな環境でシーズンに臨みました。

レギュレーション変更とグランプリ

レギュレーションにも変更が加えられました。同一週末に2レースが開催される場合、レース1のスターティンググリッドはEポールで決定されますが、レース2のグリッドはレース1の結果に基づいて決定されるようになりました。これは、従来両レースともEポール順位でグリッドが決定されていた方式からの変更です。

当初発表された暫定カレンダーは、スペイン、フランス、オランダ、オーストリア、サンマリノの5会場で開催される6レースを予定していました。しかし、新型コロナウイルスの影響により、カレンダーは大幅に改訂されました。オランダグランプリはキャンセルとなり、オーストリアとバレンシアグランプリはMotoEカレンダーから除外されました。サンマリノグランプリはシングルヘッダーに変更され、新たにアンダルシアグランプリが追加、フランスグランプリはダブルヘッダーとなりました。スペイングランプリも延期の後、7月に開催されることになりました。これらの変更により、シーズンは当初の予定よりも遅れてスタートし、非常に変則的なスケジュールとなりました。

ジョルディ・トーレスの躍進とシーズン結果

この激動のシーズンにおいて、最も輝きを放ったのはMotoE初参戦のジョルディ・トーレスでした。彼は全戦でトップ6フィニッシュという安定した成績を収め、4度の表彰台を獲得。そして最終戦フランスグランプリで優勝し、見事チャンピオンの座に輝きました。彼の活躍は、MotoEの歴史に新たな1ページを刻むこととなったのです。

ポイントシステムとランキング

ポイントシステムは15位までが対象で、完走した場合のみポイントが与えられました。最終的なライダーズランキングは、各ライダーの獲得ポイントの合計で決定されました。トーレスの圧倒的な活躍は、このランキングにも明確に反映されています。

2020年のMotoE世界選手権は、新型コロナウイルスの影響という未曽有の困難を乗り越え、多くのドラマと感動を生み出したシーズンでした。ジョルディ・トーレスの優勝は、このシーズンの集大成であり、今後のMotoEの発展に大きな期待を抱かせる結果となりました。

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