2021年のMotoGP

2021 MotoGP世界選手権：激動のシーズンとクアルタラロの栄光

2021年のFIMロードレース世界選手権MotoGPクラスは、例年以上にドラマチックなシーズンとなりました。新型コロナウイルス感染症の世界的流行による影響は大きく、数々のグランプリが延期・中止となり、開催日程は何度も変更されました。加えて、ライダーたちの移籍やチーム編成の変化も激しく、各チームは戦略を練り直す必要に迫られました。

ライダー移籍の波

まず注目すべきは、ライダーたちの移籍劇です。ファビオ・クアルタラロはペトロナス・ヤマハ・SRTからモンスターエナジー・ヤマハMotoGPへと移籍し、レジェンドのバレンティーノ・ロッシは、長年所属したモンスターエナジー・ヤマハMotoGPを離れ、クアルタラロの後釜としてペトロナス・ヤマハSRTへと移籍しました。この移籍劇は、シーズンを大きく彩る要素となりました。

ドゥカティ陣営では、ジャック・ミラーとフランチェスコ・バニャイアがプラマック・レーシングからドゥカティ・レノボ・チームへと昇格。プラマック・レーシングにはヨハン・ザルコとMoto2からステップアップしたホルヘ・マルティンが加入しました。

レッドブルKTMファクトリーレーシングのポル・エスパルガロはレプソル・ホンダ・チームへ移籍し、その穴を埋めるようにミゲル・オリベイラがレッドブルKTMテック3から昇格。オリベイラの後釜はドゥカティからダニロ・ペトルッチが加入するなど、チームの顔ぶれは大きく変わりました。

また、レプソル・ホンダチームのアレックス・マルケスはLCRホンダへ移籍。長年ホンダで活躍したカル・クラッチローは引退し、ヤマハのテストライダーに転身しました。Moto2から最高峰クラスにステップアップを果たしたルカ・マリーニとエネア・バスティアニーニも、この年のMotoGPを盛り上げました。一方、ティト・ラバトは契約を解除され、スーパーバイク世界選手権へと移籍しました。長年ドゥカティで活躍したアンドレア・ドヴィツィオーゾは、このシーズンを最後に引退を発表しています。アプリリアでは、ロレンツォ・サヴァドーリがテストライダーからフル参戦へとステップアップしました。

シーズンの出来事：怪我、事故、そしてサプライズ

シーズン中盤以降も、数々の出来事がMotoGPを彩りました。マルク・マルケスの怪我による欠場には、代役としてステファン・ブラドルが起用されました。ホルヘ・マルティンは転倒による怪我で欠場し、ティト・ラバトやミケーレ・ピロが代役を務めました。

フランコ・モルビデリはトレーニング中の怪我により長期離脱し、ギャレット・ガーロフ、カル・クラッチロー、ジェイク・ディクソンらが代役として活躍しました。

そして、シーズン最大のサプライズはマーベリック・ビニャーレスのヤマハからの解雇です。原因不明の不規則な操作が問題となり、その後、双方合意のもとで契約が解除されました。ヤマハはカル・クラッチローとフランコ・モルビデリを起用して穴を埋め、モルビデリが移籍したペトロナス・ヤマハSRTにはアンドレア・ドヴィツィオーゾが加入しました。

さらに、アプリリアは、終盤戦からロレンツォ・サヴァドーリに代わりマーベリック・ビニャーレスを起用しました。

新たなグランプリと新型コロナウイルス感染症の影響

2021年シーズンは、1982年以来となるフィンランドグランプリの復活、そして1997年以来となるインドネシアグランプリの開催が予定されていました。しかし、新型コロナウイルスの影響は大きく、チェコグランプリは開催中止、フィンランドグランプリは2年連続の中止となりました。

また、アルゼンチン、アメリカ、日本、オーストラリア、マレーシアグランプリも、新型コロナウイルス感染症の流行と各国政府の渡航制限等により開催が中止となりました。これらのグランプリの中止に伴い、代替開催や日程変更が繰り返し行われ、最終的な開催日程は何度も修正されることになりました。

特に、タイグランプリとマレーシアグランプリの中止を受けて、代替としてエミリア・ロマーニャ＆リヴィエラ・ディ・リミニグランプリが追加されました。

結果とランキング

この激動のシーズン、ファビオ・クアルタラロがタイトルを獲得しました。ライダーズランキング、マニュファクチャラーズランキング、チームズランキング、そして詳細なポイントシステムについては、別途資料を参照ください。

2021年のMotoGP世界選手権は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックと、その影響による日程変更、そしてライダーたちの移籍劇という、前代未聞のシーズンとなりました。しかし、その中でクアルタラロが掴んだ栄光は、多くのファンに記憶に残るものとなったことは間違いありません。

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