2022年オーストラリア総選挙

2022年オーストラリア総選挙：9年ぶりの政権交代

2022年5月21日、オーストラリアで連邦議会（上院・下院）議員を選出する総選挙が行われ、9年ぶりに政権交代が実現しました。自由党のスコット・モリソン首相から、労働党のアンソニー・アルバニージー党首へと、国のリーダーが交代する歴史的な転換点となりました。

選挙の概要

この総選挙では、上院（元老院）の76議席のうち40議席と、下院（代議院）の全151議席が改選の対象となりました。投票は午前8時から午後6時まで行われ、開票の結果、労働党が勝利し、9年ぶりの政権奪還を果たす見通しが伝えられました。自由党は議席を大幅に減らし、副党首のジョシュ・フライデンバーグも落選する結果となりました。一方で、労働党も過半数を獲得するには至らず、下院では無所属議員の増加が目立つ結果となりました。緑の党は上下両院で議席を増やしました。

スコット・モリソン首相は敗北を認め、自由党党首を辞任。5月23日には、アンソニー・アルバニージーが新首相に就任しました。

労働党の勝利祝賀会で、アルバニージー新首相は、アボリジニとトレス海峡諸島民をオーストラリアの先住民と認め、「議会への声」を設置するための憲法改正の是非を問う国民投票を、3年間の任期中に行うと改めて表明しました。また、米英との安全保障の枠組みであるAUKUSへの強い支持と、気候変動対策におけるリーダーシップへの意欲を示しました。

選挙データ

選挙時内閣: 第2次モリソン内閣（自由党・国民党保守連合）
選挙後内閣: アルバニージー内閣（労働党）
解散日: 2022年4月11日
投票日: 2022年5月21日
改選数: 上院40議席、下院151議席
選挙制度: 上院は比例代表制、下院は小選挙区制
投票方法: 上院は単記移譲式投票、下院は優先順位付投票制
選挙権: 満18歳以上のオーストラリア国民
有権者数: 17,228,900人

選挙活動の背景

選挙戦では、モリソン政権のCOVID-19対策や、議会内の性的違法行為スキャンダル、AUKUSの発足などが主な争点となりました。モリソン首相は、COVID-19感染拡大の抑制と経済回復を強調しましたが、労働党は、山火事やCOVID-19対応の失敗を批判し、医療システムの強化、雇用創出、気候変動対策などを訴えました。

COVID-19パンデミック: 対策の初期は成功したものの、変異株の流入により感染が再拡大し、国民の不満が高まりました。
議会内の性的違法行為スキャンダル: 政府職員によるレイプやセクハラが相次ぎ、政権への信頼が揺らぎました。
AUKUS発足: 米英豪の安全保障協力は超党派の支持を得ましたが、フランスや中国からの反発を招きました。

主要な主張

モリソン首相は、COVID-19からの経済回復をアピールし、家計支援策やインフラ投資を打ち出しました。一方、アルバニージー労働党党首は、モリソン政権の失政を批判し、医療、雇用、気候変動対策を重視する政策を掲げました。特に、気候変動対策では、2030年までに温室効果ガス排出量を2005年比で43%削減するという目標を掲げ、再生可能エネルギーへの投資を強化する方針を示しました。

選挙結果と影響

労働党は75議席を獲得し、9年ぶりに政権を奪還しました。自由党は議席を大幅に減らし敗北しましたが、労働党の得票率が大きく伸びたわけではなく、無所属議員が議席を増やしたことが特徴的でした。選挙戦では、インフレや生活費の高騰が国民の関心を集め、経済政策が重要な争点となりました。

アルバニージー首相は就任後、日米豪印戦略対話（Quad）に出席し、国際社会におけるオーストラリアの役割を改めて強調しました。

この選挙は、オーストラリアの政治 landscape に大きな変化をもたらし、今後の政策や国際関係に影響を与えることが予想されます。

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