2023年ベルゴロド州への攻撃

2023年ベルゴロド州への攻撃

2023年5月22日、ロシアのベルゴロド州およびクルスク州で、一連の戦闘が発生しました。この戦闘は、2022年のロシアによるウクライナ侵攻に続くもので、主にロシアの反体制派組織である「ロシア義勇軍団」と「自由ロシア軍団」によって引き起こされました。

戦闘の経過

コジンカの戦い

5月22日、ロシア義勇軍団は戦車を用いてベルゴロド州コジンカの国境警備施設を襲撃し、同日中にコジンカを占領しました。その後、親ウクライナ派はグロトヴォ、ゴーラ・ポドルも占領したと報告されました。ウクライナ国防省情報総局は、この作戦はロシア国民のみが参加し、ウクライナ民間人の保護のための「安全地帯」創設を目的としていると発表しました。ロシア義勇軍団と自由ロシア軍団の総勢は約150名とされています。

5月23日には、親ウクライナ派がコジンカから約50km東のゴルコフスキー、シチェティノフカを占領し、さらにクルスク州のゴゴレフカにも進軍したことが確認されました。5月24日夜、親ウクライナ派は「ロシア軍を国境線に分散させる」という目標を達成したとして一旦国境線まで撤退しましたが、ウクライナ領内からの攻撃は継続されました。

シェベキノの戦い

6月1日、親ウクライナ派はシェベキノ方面への新たな攻撃を開始し、国境検問所で戦闘が発生しました。この戦闘により、シェベキノとその周辺都市の住民は避難を余儀なくされ、6月3日にはロシア側で少なくとも2人の死者が出ました。

6月4日、ロシア義勇軍団はロシア兵2人を捕虜にしたことを公表し、ベルゴロド州知事に対して捕虜交換を提案しましたが、知事はこれに応じませんでした。6月5日、ロシア義勇軍団はシェベキノ南西のノバヤ・タボルジャンカを陥落させたと主張し、ベルゴロド州知事もこの地域の支配権を失ったことを事実上認めました。

ロシア義勇軍団と自由ロシア軍団の装備

OSINTの情報によると、自由ロシア軍団は戦車2両、装甲兵員輸送車1両、ハンヴィーを含む装甲車両9両を装備していました。また、ロシア軍のBTR-82やR-330Zhなどの鹵獲された装備も確認されています。5月23日には、グレイヴォロンでロシア治安部隊から鹵獲したBTR-80に乗るロシア義勇軍団員の動画も確認されました。

各方面の反応

ウクライナ

ウクライナ国防省情報総局は、この越境攻撃はロシア義勇軍団と自由ロシア軍団によって行われ、ウクライナ市民を保護するための回廊を構築することが目的であると発表しました。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ウクライナ政府は攻撃に関与しておらず、ロシアの「暴力的な抵抗運動」によるものだと主張しました。ミハイロ・ポドリャク大統領府長官顧問は、ウクライナの関与を否定しつつも状況を注視していると述べ、「戦車はどのロシアの軍事用品店でも販売されている」と皮肉を込めました。

ロシア

ロシアのドミトリー・ペスコフ報道官は、この攻撃をバフムートの戦いから目をそらし、ウクライナの敗北の政治的影響を最小限に抑える試みだと述べました。

アメリカ

アメリカ国務省のマシュー・ミラー報道官は、アメリカはウクライナに対して自国領外での攻撃能力を提供しておらず、そのような攻撃を奨励もしていないと述べました。一方で、ウクライナは自らの作戦方法を決定する権利があり、ロシアがこの戦争の侵略国であると指摘しました。

関連した出来事

5月22日夜、「自由ロシア軍団」はモスクワ大学の上空に反体制旗である白青白旗が掲げられている様子を映した映像を公開しました。5月23日には、ベルゴロド州の鉄道駅付近やFSBのビルで爆発が発生したと報告されました。

関連項目

2022年ロシア西部攻撃
ワグネルの反乱

この一連の戦闘は、ロシア国内での反体制派の活動が活発化していることを示唆するものであり、今後の情勢を注視する必要があるでしょう。

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