2023年世界柔道選手権大会

2023年5月7日から14日にかけて、カタール・ドーハにて開催された第40回世界柔道選手権大会は、多くの話題と議論を巻き起こす大会となりました。今大会は、無差別級を除く男女7階級の個人戦と、男女混合団体戦が実施され、カタールでの開催は史上初でした。大会マスコットには「Joud」というキャラクターが選ばれました。

大会結果と物議を醸した審判問題

今大会は、個人戦、団体戦ともに各国が熱戦を繰り広げました。特に男子100kg超級決勝は、フランスのテディ・リネール選手と、中立選手として出場したロシアのイナル・タソエフ選手の対戦となりました。GS（ゴールデンスコア）にもつれ込んだ試合は、リネール選手が得意の浮技で技ありを奪い、世界選手権11度目の優勝を飾りました。しかし、この試合は審判をめぐる大きな議論を呼びました。タソエフ選手が放ったカウンター攻撃がポイントとならなかったことに対し、当初は「新ルールが規定する講道館由来の技術を駆使していない」と説明されました。しかし、審判委員会はその後、専門家の意見も踏まえ、ポイントを付与可能だったと前言を翻し謝罪。この判定をめぐっては、大きな波紋が広がり、後日IJFは正式に誤審を認め、両選手を勝者と認定しました。ロシア大統領プーチン氏もこの件について言及し、IJFの対応を賞賛しました。

この審判問題は、過去にもIJFが誤審を認め、結果を修正した事例があることを改めて浮き彫りにしました。2022年のヨーロッパクラブ選手権や2021年の世界ジュニア選手権でも、同様の事態が発生していました。

放送問題：フジテレビの中継打ち切り

今大会の日本における放送はフジテレビ系列で行われましたが、大会2日目の阿部一二三選手と丸山城志郎選手の決勝戦が、放映終了時間（午前1時25分）に間に合わず、試合の最後まで放送されませんでした。この対応にSNS上では強い批判が殺到し、その後放送されたYouTuberグループコムドットの番組まで批判の対象となりました。フジテレビは過去にも世界柔道選手権の中継で同様の問題を起こしており、批判の高まりは容易に想像できます。

ロシアとベラルーシ選手の出場とウクライナのボイコット

ロシアのウクライナ侵攻を背景に、ロシアとベラルーシの選手は中立の立場（AIN）で大会に出場しました。この決定は、IJFがオリンピックを目指す全ての選手に公平な機会を与えるためとしており、IOCの決定に追従する形となりました。しかし、ウクライナはこれに対してボイコットを表明。ウクライナ柔道連盟は、出場したロシア選手の大半が現役軍人であると主張し、強い反発を示しました。この問題に関して、IJF会長ビゼール氏や全柔連会長山下泰裕氏、ウクライナ柔道連盟会長コシリャク氏など、関係者からの様々な見解が発表されました。ロシア選手団の一部役員は参加を拒否されましたが、選手は全員参加が認められました。この件に関して、ロシア大統領プーチン氏や、テディ・リネール選手もコメントを発表しています。会場では、ロシア軍のエンブレムを着用した観客が退場させられるなどの出来事もありました。

世界ランキング1位の成績

今大会では、世界ランキング1位の選手たちの活躍も注目されました。各階級での結果や、その後のランキング変動も、今後の柔道界の動向を知る上で重要な要素となります。

まとめ

2023年世界柔道選手権大会は、競技結果だけでなく、放送問題、審判問題、そして国際政治問題が絡み合った、非常に波乱に富んだ大会となりました。これらの出来事は、今後の国際スポーツ大会の開催や、スポーツ界における政治的影響について、改めて考えるきっかけを与えてくれるでしょう。 今後の柔道界の動向に注目が集まります。

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