2025年の鉄道

2025年の鉄道の主な出来事

2025年（令和7年）は、日本の鉄道業界において多くの重要な変化が見られた年となりました。新しい路線の開業や既存路線の延伸、複数の鉄道会社による経営統合、そして長年親しまれた車両たちの引退と次世代を担う新型車両の登場など、全国各地で様々な動きがありました。

年明け早々、1月には韓国や中国の都市で地下鉄や広域鉄道網の延伸・新駅開業が進み、鉄道ネットワークの拡大が見られました。国内では、大阪においてIR（統合型リゾート）の開業を見据えた大阪メトロ中央線の延伸区間が夢洲駅まで開業し、大阪湾岸部のアクセスが強化されました。これに伴い、神戸高速鉄道、阪神電気鉄道、山陽電気鉄道でも運賃改定が実施されました。

3月には、複数の鉄道事業者の経営統合が大きな注目を集めました。京成電鉄が新京成電鉄を、南海電気鉄道が泉北高速鉄道をそれぞれ吸収合併し、新京成線は「松戸線」、泉北高速鉄道線は「泉北線」へと名称が変更されました。これにより、首都圏と関西において、より一体的なサービス提供や経営効率化が期待されています。

また、全国各地で運賃改定が行われたほか、ICカードの利用エリア拡大も進展しました。三岐鉄道の北勢線や、JR東海、JR西日本、JR四国、近江鉄道などで新たにICカード乗車券が導入され、キャッシュレスでの利用が可能なエリアが広がりました。

ダイヤ改正も多くの事業者で実施されました。JRグループをはじめ、多くの私鉄・公営鉄道で列車の時刻や停車駅が見直され、利用者のニーズに合わせた運行形態の最適化が図られました。特にJRでは、利用者の少ない一部の駅が廃止されたり、特定の特急列車が普通・快速列車に格下げされたりするなど、路線の維持に向けた効率化の動きも見られました。

車両の世代交代と新技術

2025年は、多くの車両にとって節目となる年でした。長年にわたり日本の新幹線の軌道検測を担ってきたJR東海の「ドクターイエロー」こと923形が定期運用を終え、多くの鉄道ファンがその姿に別れを告げました。JR各社では、国鉄時代やJR発足初期に製造された車両の引退が進み、例えばJR北海道のキハ40系、JR東日本のE217系、JR東海の211系、JR西日本の201系などが定期運用を終了しました。

一方で、次世代の鉄道車両の導入も積極的に進められました。JR四国では新型電車9000系が登場し、サービスの向上が図られました。東武鉄道、京成電鉄、阪急電鉄、京福電気鉄道、一畑電車、伊予鉄道など、多くの私鉄・公営鉄道でも環境性能に優れた新型車両や、快適性を高めたリニューアル車両が運行を開始しました。

私鉄の間では、SDGsへの貢献やコスト削減の観点から、他の鉄道事業者で使用されていた車両を譲り受けて運行する「サステナ車両」の導入も話題となりました。三岐鉄道や西武鉄道などが、他社で役目を終えた車両を改修して新たな命を吹き込み、運用を開始しています。

その他の動きと将来への展望

災害からの復旧も進み、奥羽本線の一部区間で運転が再開されたほか、山陰本線の一部不通区間でも年度内の運転再開が予定されています。

鉄道業界の発展に貢献した車両に贈られる賞では、その年の優れたデザインや機能を持つ車両が選出されました。2025年のブルーリボン賞にはJR西日本の273系電車が、ローレル賞には近鉄8A系電車と福岡市交通局4000系電車がそれぞれ輝きました。

2025年は、路線のネットワーク拡大、経営基盤の強化、そして環境性能やバリアフリーに配慮した新型車両の導入など、日本の鉄道が将来に向けて進化を続ける一年となりました。同時に、利用状況の変化に応じた路線の見直しや、長年活躍した車両の引退という歴史の移り変わりも感じられる年でした。これらの出来事は、今後の日本の鉄道のあり方を考える上で重要な節目となります。

もう一度検索