202X

布袋寅泰「202X」：世紀末を彩るギターの旋律

布袋寅泰の37枚目のシングル「202X」は、2018年9月19日にリリースされました。この楽曲は、人気漫画『北斗の拳』の連載35周年を記念して制作された、特別な意味を持つ一曲です。

制作背景：封印からの解放

布袋寅泰は、以前にも『北斗の拳』をテーマにした楽曲「STILL ALIVE」を手掛けています。それから8年、再び『北斗の拳』の世界に挑んだ「202X」は、彼にとってある種の回帰でもありました。2017年のアルバム『Paradox』で追求した奥行きや深みから一転、「202X」では封印していた熱いギター、疾走感あふれるビートといった、布袋らしさが全面に押し出されています。ハードな要素は残しつつも、布袋は「戦いの向こう側にあるすがすがしさ」を表現しようと試みました。

楽曲構成：王道と革新の融合

「202X」の構成は、イントロからリズミカルなギターリフが印象的なAメロ、そして伸びやかなギターが加わるBメロへと続き、サビで爆発的な盛り上がりを見せるという王道スタイルです。しかし、2番サビ後の間奏では、メロディアスなギターソロが展開され、聴く者を魅了します。さらに、間奏後のBメロを経てサビに移行する際、ギター、ベース、ドラムが静まり返り、キーボード中心のサビが演奏されるという、意外な展開も用意されています。その後、再びハードなサビに戻り、ドラマチックな終焉を迎えます。

ラオウの魂：歌詞に込められたメッセージ

「202X」の歌詞には、『北斗の拳』の登場人物であるラオウの名台詞「わが生涯に一片の悔いなし」がモチーフとして使用されています。これは、前作「STILL ALIVE」で歌われたケンシロウの台詞「お前はもう死んでいる」と対をなすものです。歌詞カードには、究極奥義「無想転生」の痕跡を胸に刻み、天を指すラオウのイラストが使用されており、楽曲の世界観をより深く表現しています。

カップリング曲「BOMBASTIC」：インストゥルメンタルの魅力

「202X」のカップリングには、インストゥルメンタル曲「BOMBASTIC」が収録されています。この曲は、ブラスロックというジャンルに分類され、金管楽器とギターの組み合わせが特徴的です。BOØWY時代の楽曲「DREAMIN'」の頃から確立されたこのスタイルを、さらに強調したのが「BOMBASTIC」と言えるでしょう。曲中には、「ここはボンバスティックだ!」という掛け声が入り、ライブでの盛り上がりを予感させます。

完全数量限定盤特典：ARフィギュア

「202X」の完全数量限定盤には、ギターピック型のARマーカーが3枚付属しています。スマートフォンをかざすと、バーチャル3Dの布袋、ケンシロウ、ラオウが登場し、「202X」を演奏する様子を再現します。このフィギュアは、モーションキャプチャー技術を用いて制作されており、布袋本人の他、Ju-ken、中村達也といった豪華ミュージシャンが参加しています。また、完全数量限定盤の外箱背面には、通常盤にはないイラストが描かれており、CDラベルの黒王号もフルカラーでプリントされています。

ミュージックビデオ：バーチャルとリアルの融合

「202X」のミュージックビデオは、ショートバージョンが先行公開され、その後フルバージョンが公開されました。ビデオでは、布袋寅泰（ボーカル、ギター）、ケンシロウ（ベース）、ラオウ（ドラムス）によるバーチャルスーパーバンドが演奏を繰り広げます。布袋は実写で、ケンシロウとラオウはCGで表現されており、それぞれの演奏動作はモーションキャプチャーによってリアルに再現されています。フルバージョンでは、ユリアを象徴する女性が登場し、物語に深みを与えています。間奏ギターソロではケンシロウの、最後にはラオウの原作のセリフが表示されるなど、『北斗の拳』ファンにはたまらない演出も満載です。

「202X」は、布袋寅泰の音楽性と『北斗の拳』の世界観が融合した、聴きごたえのある一曲です。ぜひ、その熱いギターサウンドを体感してみてください。

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