ピック

ピックの概要

ピックは、ギターをはじめとする撥弦楽器を演奏するための必需品です。アメリカ英語では「ピック」と呼ばれ、イギリス英語では「プレクトラム」として知られています。日本語では、「撥（ばち）」という言葉が使われますが、これは広く楽器を演奏するための器具全般を指します。例えば、和楽器の三味線でもこの用語が使用されます。

また、ピックには物を引っ掛けるために使われる道具としての意味もあります。具体的には、つるはしやピッケル、あるいは掘り出し道具として用いられるものが挙げられます。さらには金属製の楊枝を指す場合もあります。情報や物品を分類して集める行為も「ピック」と呼ばれることがあります。

さらに、ピックを収納するための「ピックケース」も存在し、これは楽器用のピックを格納するためのものや、小さな引き出しを持った収納容器を指します。

フラットピックの種類と特徴

一般的なフラットピックは約3センチメートルのサイズで、薄い三角形または二等辺三角形の形状をしています。主に親指と人差指、中指の三本で挟んで使用し、爪の代わりに弦に当てて音を出します。この奏法は、日本では「ピック奏法」や「ピック弾き」と呼ばれていますが、「ピッキング」という用語はフィンガー・ピッキングも含む幅広い意味で使われることがあります。

素材と価格

ピックは様々な素材で作られており、セルロイドや他のプラスチック系合成樹脂が主流です。ゴムやフェルト、金属、木材、石、骨、鼈甲、さらには硬貨が使われることもあります。特に、セルロイド以外のプラスチック系統にはナイロンやデルリン、ポリカーボネートなど、多くの選択肢があります。これらの素材は、音質や演奏時の弾き心地にそれぞれの特徴を持ちます。

形状と硬さ

ピックの形状は正三角形型、ラウンド型、ティアドロップ型、ホームベース型など多様で、硬さ（厚さ）もTHIN（薄い、約0.5ミリメートル）、MEDIUM（中間、約0.8ミリメートル）、HARD（硬い、約1.0ミリメートル）、EXTRA HEAVY（最も硬い、1.5ミリメートル以上）とさまざまです。これにより、演奏スタイルや好みに合わせた選択が可能です。

また、滑り止めのために異素材が貼られているものや、穴が開けられたデザインも多く見られます。弦楽器の中では、エレクトリックギター、アコースティックギター、ベースギター、マンドリンなどで利用され、一般的にベースに最適な硬さやマンドリンで好まれる形状は、プレイヤーの好みに大きく依存します。

フィンガーピックの活用

フィンガーピックは指先に装着する形のピックです。通常は親指、人差指、中指に取り付けますが、特に親指用のものは「サムピック」と呼ばれることが多いです。これらは金属やプラスチックで製作され、バンジョーやスティール・ギターなどの演奏にも広く使用されています。時にはクラシック・ギター奏者が爪の代用品として使用することもあります。

このフィンガーピックを使うことで、独特な演奏方法が可能になり、フラットピックのみでは難しいベースラインとメロディラインを同時に演奏することができます。これをフラットピックで行う場合には、ベース音をピックで弾き、メロディを指で弾くやり方が一般的で、これを「チキン・ピッキング」と呼びます。

コンサートにおけるピックの活用

コンサート会場では、ミュージシャンが予備のピックをマイクスタンドに掲げ、ファンに向かって投げるシーンが見られます。この行為はファンサービスの一環として人気があります。また、ミュージシャンやバンドのキャラクター商品としても、ピックは頻繁に利用されています。楽器ショーなどでは、企業のロゴ入りのピックが観客に無料で配られることがあり、プロモーション活動の一環としても活用されています。

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