21cm K12(E)列車砲

21cm K12(E)列車砲の概要

21cm K12(E)列車砲は、ナチス・ドイツが第二次世界大戦中に運用した重砲の一例であり、その正式名称は「21cm Kanone 12 in Eisenbahnlafette」と呼ばれています。この兵器は、鉄道を利用して移動可能な大型砲として設計され、従来の砲兵器と異なる特異な構造を持っていました。

設計経緯

この砲は、ヴァイマル共和政時代にクルップ社によって設計され、パリ砲に代替するための理論的な研究が進められていました。ナチス政権下で、クルップ社は射程の延長と精度向上を求める要求を受け、開発資金が提供されることとなりました。この際、当初のパリ砲は、砲身の摩耗が激しく、わずか50発で使用不能になるなど、多くの問題を抱えていました。このため、クルップ社は新たなアプローチを採用し、より長持ちする砲身設計に取り組むことになりました。

構造と機能

K12(E)は、シンプルなボックスガーダー構造の車体に搭載され、二組の台車がサブフレームに連結されています。移動時には、砲本体が駐退装置から取り外され、低い全高で輸送可能でした。砲身は非常に長く、外部支柱によって支持されています。砲のトラニオンは前方に配置されており、俯仰時の力を最小限に抑える工夫がされています。

発砲メカニズムと輸送

この砲は、特別に設計されたT字形のブレハブ軌道を用いて、貨車から展開する仕組みになっています。発砲時には、電気モーターによって砲身を的位置調整し、正確な方向に向けることができました。これにより、射撃精度が向上し、意図した目標に対して効果的に攻撃を行うことが可能でした。

配備と使用

K12(E)は1938年に完成し、翌1939年にはドイツ陸軍に配備されました。この砲はその性能において成功を収めたものの、砲撃の際にジャッキでの高さ調整が必要であったため、多くの地上軍からは不評を買いました。この問題を受け、クルップ社は更なる改善を行い、油圧式の機構を強化し、砲耳を前方に移動させる設計変更を行いました。これにより、新型のK-12 N(E)が1940年夏に配備されました。

戦場での役割

これらの列車砲は、砲兵中隊701(E)に配属され、英仏海峡沿いの戦場に配置されました。顕著な実績を残したK12(E)の砲弾は、戦争のさまざまな局面で使用され、イギリスへも届いたドイツの攻撃力の象徴となります。特に、フランス海岸近くの地域では実際に砲弾が回収されています。

参考文献

• - Engelmann, Joachim. German Railroad Guns in Action. Carrollton, Texas: Squadron/Signal, 1976
• - Engelmann, Joachim and Scheibert, Horst. Deutsche Artillerie 1934-1945. Limburg/Lahn, Germany: C. A. Starke, 1974
• - François, Guy. Eisenbahnartillerie. Paris: Editions Histoire et Fortifications, 2006.
• - Gander, Terry and Chamberlain, Peter. Weapons of the Third Reich. New York: Doubleday, 1979.
• - Hogg, Ian V. German Artillery of World War Two. Mechanicsville, PA: Stackpole Books, 1997.
• - Kosar, Franz. Eisenbahngeschütz der Welt. Stuttgart: Motorbook, 1999.

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