25セント硬貨 (アメリカ合衆国)

アメリカ合衆国の25セント硬貨（クォーター）

アメリカ合衆国で流通する25セント硬貨、通称クォーターは、1ドルの4分の1の価値を持つ硬貨です。1796年から製造されており、日常的な少額取引で最もよく使用される硬貨です。かつてはスペイン・レアル硬貨の「トゥー・ビッツ」とも呼ばれていました。

クォーターのデザインの変遷

クォーター硬貨のデザインは時代とともに大きく変化してきました。以下に主なデザインの変遷をまとめます。

クォーター銀貨
ドレイプト・バスト (1796年〜1807年): 初期のデザインで、裏面には小さなワシやヘラルディック・イーグルが描かれていました。
キャップト・バスト (1815年〜1838年): モットーが刻印されたものと、そうでないものがありました。
シーテッド・リバティ (1838年〜1891年): 自由の女神が座った姿が描かれています。
バーバー (1892年〜1916年)
スタンディング・リバティ (1916年〜1930年)
ワシントン (1932年〜1964年): 初代大統領ジョージ・ワシントンの肖像が描かれています。1975年から1976年にかけては200周年記念版も発行されました。
50州記念[硬貨]：各州のデザインが裏面に描かれました。
[ワシントンD.C.]]および海外領土記念[[硬貨]

クォーター白銅貨（銅・ニッケル合金）
ワシントン (1965年〜1974年、1977年〜1998年)：銀貨から変更され、銅とニッケルの合金が使用されるようになりました。1975年から1976年には200周年記念版も発行されました。
50州記念[硬貨]
[ワシントンD.C.]]および海外領土記念[[硬貨]
国立公園記念[硬貨]

現行のクォーター硬貨

現行のクォーター硬貨は、クラッドメタルという張り合わせ合金で製造されています。素材は銅とニッケルの合金で、質量は5.67グラム、直径は24.26ミリメートル、厚さは1.75ミリメートルです。縁にはギザギザの溝があります。

表側にはジョージ・ワシントンの肖像が、裏側にはハクトウワシが描かれています。このデザインは、彫刻家のジョン・フラナガンが手がけました。当初は記念硬貨として発行されましたが、後に正式な硬貨として採用されました。

1999年からは、50州記念硬貨プログラムが開始され、裏面に各州のデザインが描かれました。このプログラムにより、一時的にワシの絵柄の硬貨の製造が中断されました。また、近年では、アメリカ合衆国議会が1セント、5セント、1ドル硬貨のデザイン変更案を提出しています。

近年の記念硬貨

2007年には、50州記念硬貨プログラムが1年延長され、ワシントンD.C.と海外領土のデザインが追加されました。2010年からは、各州の国立公園をデザインしたアメリカ・ザ・ビューティフル25セント硬貨プログラムが開始され、12年間継続されました。

2022年からは、アメリカ人女性25セント硬貨シリーズが始まり、映画俳優のアンナ・メイ・ウォンなど、アメリカの歴史に貢献した女性の肖像が裏面に描かれています。

銀貨の希少価値

1964年以前に製造された銀貨は、現在では希少価値が高くなっています。特に、製造量が少なかった年や、エラーコイン（二重打ちなど）は高値で取引されています。例えば、1932年のデンバーやサンフランシスコで製造された硬貨、1934年の二重打ちエラー硬貨などが挙げられます。

1934年にフィラデルフィアで製造された硬貨には、標語「In God We Trust」の刻印が薄いものと濃いものの2種類があり、状態が良ければ価値があるものの、それほど大きな差はないとされています。

銀貨は、1932年から1964年まで製造され、製造されない年や、造幣局も存在しました。サンフランシスコの造幣局は、1934年と1949年には製造を控え、1955年から1967年まで25セント硬貨の製造を中止しました。デンバー造幣局では1938年のみ製造されませんでした。

銅・ニッケル合金硬貨の希少価値

銅・ニッケル合金の硬貨は、1965年から製造が開始されました。1965年から1967年にかけてはミントマークが刻印されていません。銀の価値が額面を超えたため、コスト削減のために合金が使用されるようになりました。

1965年から1971年および1981年(タイプ2)の製造で「Deep Cameo」と呼ばれる種類のプルーフ硬貨は高く評価されており、1980年代の未使用の状態が良い硬貨も高値がつく傾向があります。特に1982年と1983年はセットが製造されなかったため、未使用状態の硬貨は希少です。1981年から1994年のMS67グレードの硬貨は1,000ドル以上で取引されることもあります。

ミントマークは、表側の「IN GOD WE TRUST」の下に刻印されています。1968年以降は、デンバーなら「D」、サンフランシスコなら「S」、フィラデルフィアならマークなしと区別されています。

このように、25セント硬貨は、そのデザインや製造年、素材、状態によって価値が大きく異なります。収集家や歴史愛好家にとって、魅力的なコレクションアイテムとなっています。

もう一度検索