28年

西暦28年：歴史の交差点

西暦28年は、ユリウス暦における閏年であり、干支では戊子（つちのえね）の年にあたります。この年は、世界各地で様々な出来事が起こり、歴史の流れに小さな波紋を刻みました。

宗教と政治の動乱

この年、パレスチナ地方では、ナザレのイエスが洗礼者ヨハネから洗礼を受けました。この出来事は、後のキリスト教の発展において重要な転換点となります。また、ローマ帝国のユダヤ属州総督ポンティウス・ピラトゥスは、エルサレム神殿にローマ皇帝の軍旗を持ち込み、ユダヤ人たちの反発を招きました。さらに、ピラトゥスは神殿の宝物であるコルボナスを売り払い、水道管工事に充てたため、ユダヤ人の怒りは頂点に達し、騒動が発生、死者が出る事態となりました。これらの出来事は、当時の政治と宗教の緊張関係を浮き彫りにしています。

東アジアの動き

東アジアに目を向けると、後漢では遼東太守が高句麗を攻撃しましたが、尉那巌城を落とせずに撤退しました。この戦いは、両国間の緊張関係を示す一例です。朝鮮半島では、百済で多婁王が即位し、新たな時代が始まりました。新羅では、儒理王が国内の寡婦、寡夫、独り身の者、老人などに食料を与え養う政策を実施した結果、近隣諸国から多くの移民が流入しました。この政策は、新羅の社会福祉制度の先駆けとも言えるでしょう。

その他の出来事

この年は、ローマ帝国の皇族であるユリアが死去しました。ユリアは、マルクス・ウィプサニウス・アグリッパの娘であり、彼女の死は当時の社会に一定の影響を与えたと考えられます。また、後漢の第2代皇帝となる明帝が誕生しています。

各地の紀年法

この年は、日本においては垂仁天皇57年、皇紀688年にあたります。中国では、後漢の建武4年、隗囂の漢復6年、公孫述の龍興4年でした。朝鮮半島では、高句麗が大武神王11[[年]]、新羅が儒理王5年、百済が多婁王元年であり、檀紀では2361[[年]]でした。仏滅紀元では571[[年]]、ユダヤ暦では3788年から3789年にあたります。これらの紀年法からも、この年がそれぞれの地域で異なる時間軸で捉えられていたことがわかります。

西暦28年は、各地で様々な出来事が起こり、その後の歴史に影響を与えた年でした。宗教的な転換点、政治的な動乱、そして社会的な変化が交錯し、複雑な歴史の綾を織りなしています。

この出来事は、単なる過去の一点ではなく、現代社会を理解するための重要な手がかりとなるでしょう。

もう一度検索