2S1グヴォズジーカ 122mm自走榴弾砲

2S1グヴォズジーカ 122mm自走榴弾砲

2S1グヴォズジーカは、ソビエト連邦で開発された自走榴弾砲であり、その名「グヴォズジーカ」はロシア語で“カーネーション”を意味します。

概要

1960年代半ばに開発が始まり、1971年にソ連軍に配備されました。1974年のポーランドでの軍事パレードで初めて公開され、西側諸国では「M1974 SPG」という名称で呼ばれていました。その後、軍の装備名からSO-122という名称が与えられました。

2S1は、機甲部隊に随伴して迅速に支援火力を与えることを主な目的として開発されました。水上浮航能力をはじめとする高い機動性能を有しています。しかし、高度な射撃統制装置は搭載されておらず、主砲も牽引砲をほぼそのまま搭載したもので、最大射程や発射速度に特筆すべき点はありません。車体と砲塔は幅広で背の低いデザインですが、自走砲としては車内高が不足しており、装填作業に支障が生じるほか、砲の仰角が制限されるため長距離射程を確保できないという問題点がありました。ただし、構造が単純で信頼性が高く、機甲部隊の支援火力を自走化するという目的は十分に達成されました。

1990年頃までに約1万両が生産され、ポーランドやブルガリアではライセンス生産が行われたほか、本車をベースとした派生車両も開発されています。ソビエト本国以外にも、旧ワルシャワ条約機構諸国や中東諸国などに広く輸出され、旧式化が進んでいますが、現在でも多くの国で現役で使用されています。

構造

車内配置は、前部に機関室と操縦室、後部に砲塔と戦闘室があります。これは、原型のMT-LB汎用装甲車の兵員室にそのまま砲塔を搭載したのとほぼ同じ配置です。

幅広で前後に長い車体は、MT-LB汎用装甲車の基礎設計を流用したもので、浮航性があり、履帯で水を掻くことによって水上航行が可能です。車体前面には展開式の波切板があり、車体後部と履帯部の後端のフェンダーは、水流を整えて推進効率を上げるためにスリット状になっています。普段は上部に135度反転させて収納されています。また、車体側面前部には水上航行用のフェンダーカバーが装着されており、普段は砲塔後面に収納されています。

車体後部の密閉式砲塔は360度旋回可能で、搭載砲はD-30(2A18)牽引式榴弾砲（38口径122mm）を基にした2A31榴弾砲（36口径122mm）です。分離薬筒式で、最大射程は15.2km（破片榴弾の場合）。装填補助装置がありますが、基本的には手動で、2名の装填手が行います。発射速度は毎分2発です。通常はOF-462破片榴弾（重量21.7kg）が使用されますが、緊急時の直接戦闘用にBK-6M成形炸薬弾（装甲貫徹力460mm）も用意されています。近年では、レーザー誘導式のRAP（ロケットアシスト弾）であるキトロフ2も開発されましたが、高価であるためか、あまり配備されていません。

車内には弾頭と装薬それぞれ40発分が搭載されています。車体後面には片開き式のハッチがあり、ここから直接弾薬の補充を受けることができます。車体後面ハッチから給弾した場合は、発射速度は毎分4発となります。

同時代のソビエト軍のドクトリンから、NBC環境下での行動能力と夜間行動能力は必須とされており、NBC防護装置と操縦手および車長用に赤外線暗視装置が装備されています。

採用国

(※ - 2009年現在)

登場作品

2S1は多くの国で使用されているにもかかわらず、映像作品に登場することは比較的少ないです。しかし、1998年に製作されたアメリカのTV映画『プライベート・ソルジャー』に、ドイツ軍戦車として外装を改造したものが登場しています。これは、ロケ地のハンガリー軍の装備車両を借用して撮影用に現地改造したものです。

脚注

出典

関連項目

D-30 122mm榴弾砲
2S3アカーツィヤ 152mm自走榴弾砲
自走砲
榴弾砲

外部リンク

* 2S1 - YouTube 浮航性活用シーン

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