2S35 コアリツィヤ-SV 152mm自走榴弾砲

2S35 コアリツィヤ-SV 152mm自走榴弾砲

2S35 コアリツィヤ-SV（露：2С35 Коалиция-СВ）は、ロシア連邦軍の最新鋭の自走榴弾砲です。この兵器は、旧型の2S19 ムスタ-Sとの比較において、技術的な進化を遂げています。コアリツィヤ-SVは、ロシア軍の火力を向上させるために設計され、特に射程と発射速度において大きな改善が施されています。

開発の背景

コアリツィヤ-SVの開発は、2006年に始まりました。その目的は、陳腐化した旧型の2S19 ムスタ-Sを更新することです。当初、T-80及びT-72を基にした車体に152mm榴弾砲が二門連装で搭載されるプランがありましたが、高いコストと信頼性の低さが懸念され、開発は2010年に中止されました。その後、再設計が行われ、2014年11月から新型の試験が遂行されました。

2015年のモスクワ戦勝パレードで初めてこの自走砲が公開された際、他の新型車両と同様に砲塔はカバーに覆われていました。最初はT-14の車体と共用されるとされていましたが、実際にはT-90やムスタ-Sの改良型と見なされています。

デザインと機能

コアリツィヤ-SVの砲塔には乗員用のハッチがない代わりに、車体前部には車長、操縦士、砲手のための三カ所にハッチが配置されています。この設計は、装填作業を完全自動化した無人砲塔である可能性を示唆しています。また、この技術が将来的にT-14の車体に搭載される可能性も考慮されています。

乗員区画は、装甲カプセルで覆われており、生存性が向上しています。さらに、化学、生物、放射線、核への防護機能や自動消火装置も装備されています。

射撃性能

コアリツィヤ-SVは、360°の全周回転が可能な砲塔を持ち、2A88 152mm榴弾砲を搭載しています。この砲は精密誘導弾で最大70km、通常弾で40kmの射程を誇り、従来のムスタ-Sの29kmに比べて大幅に延長されています。自動装填装置により、毎分16～20発の発射が可能で、これはNATO諸国の自走榴弾砲に対しても競争力のある性能です。

さらに、輸出仕様としてNATOの155mm砲弾に対応したモデルも計画されています。他にも、自衛用装備として12.7mmのKord重機関銃や81mm発煙弾発射機が装備されています。

補給システム

2F66-1弾薬給弾車は、KAMAZ-6560トラックを基盤に開発されており、92発の砲弾を積載可能です。これをコアリツィヤの砲塔後部に連結することで、15分以内に弾薬の補給が実現します。

派生型

コアリツィヤ-SVの派生型として、2S35-1 コアリツィヤ-SV-KShがあります。これはKAMAZ-6560にコアリツィヤの砲塔を搭載した装輪式の自走砲です。

採用状況

現在、ロシア陸軍向けに12両が採用されています。これにより、ロシア軍は自動化された最新技術を駆使し、戦場での有効性を高めています。コアリツィヤ-SVは、ロシアの現代戦における重要な火力支援の役割を担うことが期待されています。

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