30 M 791

30 M 791 航空機関砲

概要

30 M 791は、フランスが生んだ高性能なリヴォルヴァーカノン式の航空機関砲です。一般的にはDEFA 791という別名でも広く知られています。この火砲の開発は、当初GIAT社によって手掛けられましたが、後に事業が再編されたことにより、現在のネクスター社へと引き継がれ、完成に至りました。ネクスター社が提供するTHL 30ターレットシステムの中心的なコンポーネントの一つであり、同じく30mm口径の航空機関砲である30 M 781と並んで、「GIAT 30」あるいは「Nexter 30」という総称で呼ばれることも少なくありません。現代の航空機、特に戦闘機に不可欠な近接航空支援や対地攻撃能力を提供する上で、その高い発射速度と信頼性が重要な要素となっています。

開発の経緯と背景

本機関砲の開発は、フランス空軍や海軍で長らく主力機関砲として活躍してきたDEFA 550シリーズの後継システムを確立することを目的として開始されました。特に、フランスが開発を進めていた次世代戦闘機、ダッソー・ラファールの標準装備品として位置づけられており、ラファールの要求する厳しい性能基準を満たすことが求められました。DEFA 550は堅実な設計でしたが、より高速化し、かつてないほど機動的な現代の航空戦に対応するためには、射撃性能の根本的な向上が不可欠でした。このため、30 M 791では、弾丸の初速向上と単位時間あたりの発射弾数（発射速度）の増加に重点が置かれ、旧モデルから飛躍的な性能向上が図られています。開発プロジェクトはGIATによって推進されましたが、企業構造の変化を経て、その責任と技術は最終的にネクスターに継承されました。

技術的特徴と作動原理

30 M 791は、リヴォルヴァーカノン方式を採用しています。この方式では、回転式のシリンダーに複数の薬室が設けられており、シリンダーが回転することで次々と弾薬が装填され、高速での連射が可能となります。機関砲の作動方式については、その前身であるDEFA 550シリーズが採用していた堅牢なメカニズムを踏襲しています。具体的には、弾倉（シリンダー）の回転など、メカニズムの駆動に発射ガス圧の一部を利用するガス圧作動方式と、実際に弾丸を発射させる際の点火に電気信号を用いる電力発射方式を組み合わせています。弾丸が発射された際に発生する高圧ガスの一部を機関部のシリンダー回転機構に導くことで、次弾の装填準備が機械的に行われます。一方、射撃管制システムからの電気的なコマンドによって発射が実行されるため、高い信頼性と即応性を両立しています。このガス圧・電力併用方式は、航空機という振動や姿勢変化が大きい環境下でも安定した動作を実現する上で有効な設計とされています。

搭載プラットフォームとシステム統合

30 M 791は、主にダッソー・ラファール戦闘機に搭載されています。ラファールの機体構造に合わせて統合されており、その高い火力は空中戦における最後の自衛手段や、精密な地上目標への攻撃において極めて重要です。本機関砲は、ネクスターが開発したTHL 30ターレットシステムの一部として設計されています。THL 30ターレットは、機関砲本体だけでなく、これを機体に固定し、射撃時の振動を抑制するためのマウントや、照準を制御するシステムと一体化しています。これにより、高速で機動する航空機上でも、目標に対する正確な射撃を可能にしています。THL 30ターレットは、ラファールだけでなく、他の種類の航空機やヘリコプターへの搭載も考慮されており、30 M 791はその主要な搭載武装として位置づけられています。

GIAT 30 / Nexter 30 という名称について

「GIAT 30」または「Nexter 30」という呼称は、しばしば30 M 791単体を指す場合もありますが、より広い意味では、ネクスター社（およびその前身GIAT社）が開発した30mm口径の航空機関砲ファミリー全体を指す総称として使用される傾向があります。このファミリーには、本稿で詳細を述べた30 M 791に加え、主にヘリコプターなどに搭載される別のモデルである30 M 781も含まれます。両機関砲は同じ30mm NATO弾薬を使用しますが、その設計や搭載プラットフォームが異なります。しかし、開発元が共通であり、同じ口径を採用していることから、これらをまとめて「GIAT 30」または「Nexter 30」と呼ぶことで、同社の30mm航空機関砲製品群を示す際に用いられます。

まとめ

30 M 791は、DEFA 550の確かな実績を受け継ぎつつ、ラファール戦闘機の要求に応えるべく初速と発射速度といった基本性能を大きく向上させた、フランスを代表する現代的な航空機関砲です。ネクスター社によって製造・サポートされており、THL 30ターレットの一部としてラファールの多様な任務遂行能力を支えています。DEFA 791という別名や、GIAT 30 / Nexter 30というファミリーとしての総称も、本機関砲が持つ位置づけを示しています。その優れた性能と信頼性は、今後もラファールの能力において重要な役割を担い続けるでしょう。

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