4-アミノビフェニル

4-アミノビフェニル：発がん性物質としての性質と規制

4-アミノビフェニル (4-aminobiphenyl) は、芳香族アミン類に分類される有機化合物です。別名として、4-アミノジフェニルやp-フェニルアニリンとも呼ばれています。

物理的性質と化学的性質

常温では、特徴的な臭いを有する白色の固体として存在します。しかし、空気中の酸素と反応することで、紫色へと変色するという性質を持っています。水への溶解度は低く、水にほとんど溶けません。一方、熱水にはある程度の溶解性を示します。

発がん性と健康への影響

4-アミノビフェニルは、国際がん研究機関 (IARC) によってヒトに対する発がん性が認められている危険な物質です。特に、膀胱癌との関連性が強く示唆されています。

この物質は、タバコの煙、特に副流煙中に含まれていることが確認されています。また、調理過程で発生する油煙からも検出されるなど、環境中に広く存在する可能性が示唆されています。ヒトが4-アミノビフェニルを吸入したり、皮膚から吸収したり、あるいは摂取することで健康被害を受けるリスクがあります。

産業利用と規制

発がん性の高いことから、4-アミノビフェニルの産業利用は、各国で厳しく規制されています。かつては染料合成の中間体として、あるいは硫酸塩の検出試薬として使用されていましたが、現在ではその用途はほぼ廃れています。

日本では、1972年の労働安全衛生法に基づき、試験研究用途を除き、4-アミノビフェニルの製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止されています。これは、国民の健康を守るための重要な規制措置と言えます。

まとめ

4-アミノビフェニルは、その強い発がん性ゆえに、取り扱いには細心の注意が必要です。環境中での存在や、タバコとの関連性などから、健康への影響を考慮した上で、適切な予防策を講じる必要があります。関係者は、関連法規を遵守し、安全な取り扱いと廃棄を行うことが求められます。今後も、この物質に関する研究や監視体制の強化が重要となります。

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