40 ウォール・ストリート

40ウォール・ストリート

40ウォール・ストリート、または通称トランプ・ビルは、ニューヨーク市のマンハッタン区、ウォール街に位置しています。この超高層ビルは、当初はバンク・オブ・マンハッタン・トラスト・ビルとして知られていました。ビルの設計にあたったのはH・クレイグ・セヴァランスとヤスオ・マツイで、設計のコンサルタントにはシーブ & ラムが名を連ねます。

このビルの建設は1929年にスタートし、わずか11か月で竣工しました。高さは283メートルで、70階建ての構造です。完成当初は、クライスラー・ビルディングが完成するまで世界一高いビルとしての栄光を手にしました。

高さ世界一競争

40ウォール・ストリートの建設は、当時の高さ世界一を争う競争の一環として位置づけられています。建設に際して、当初の計画では高さ840フィート（約260メートル）を予定していましたが、クライスラー・ビルディングとの競争を意識し、最終的に927フィート（約283メートル）に設計変更されました。結果、1930年4月に完成した際、クライスラー・ビルディングの高みに勝って世界一の座を獲得しました。しかし、その座も長くは続かず、クライスラー・ビルディングの完成により再び高層ビル競争の渦中に巻き込まれました。

クライスラー・ビルとの競争

クライスラー・ビルディングの建設者ウォルター・クライスラーは、40ウォール・ストリートの完成を受けて急遽設計を変更し、125フィート（約38メートル）の尖塔を追加し、1930年5月28日に新たに完成させることで再び世界一の高さを達成しました。これにより、40ウォール・ストリートはわずか数ヶ月間の世界一の座に留まることとなります。

飛行機の衝突

1946年5月20日、霧のため視界不良の中、アメリカ陸軍のC-45ビーチクラフトが40ウォール・ストリートに衝突する事件が発生しました。58階に激突した航空機は、ビルに直径6メートルの穴を開けました。この事故で5人の乗組員が死亡しましたが、ビル内の人々や通行人には怪我はありませんでした。ニューヨーク市では、この事故は他の航空機衝突事件に続くものであり、市民に衝撃を与えました。

現在の姿

40ウォール・ストリートは1995年にドナルド・トランプにより買収され、その名にちなんでトランプ・ビルと呼ばれるようになりました。ビルの外観はデザインの変更や改修を経て現在に至っています。また、ビル内のロビーやエントランスは、改修時に著名な建築家デア・スカットによって新たに設計され、現代的なテイストを持つ空間へと生まれ変わりました。

40ウォール・ストリートは、その独自の歴史と特徴から、ニューヨークの象徴的な建物の一つであり続けています。

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