40ヤード走

40ヤード走とは：アメフト選手のスピードを測る指標

40ヤード走（40-yard dash）は、アメリカンフットボール選手のスピードと加速力を評価するために用いられる指標の一つです。36.58メートル（40ヤード）を走り、そのタイムを計測します。NFLスカウティングコンバインのテスト項目として知られており、選手の能力を測る上で重要な要素とされています。

概要

主に、ランニングバック（RB）、ワイドレシーバー（WR）、ディフェンシブバック（DB）といったポジションでは、40ヤード走のタイムが重視されます。これらのポジションは、純粋なスピードが求められるためです。一方、コーナーバック（CB）は、相手のワイドレシーバーと対峙して走る必要があるため、バック走のタイムが重要視される傾向にあります。

計測方法

以前は手動でストップウォッチを用いて計測していましたが、0.25秒単位で誤差が生じる可能性がありました。現在では、レーザー光線を用いた電気計測が主流となり、40ヤードラインからエンドゾーンまでの正確な通過タイムを計測します。電気計測は1999年から導入され、より正確な記録測定が可能になりました。

距離の由来

「40ヤード」という距離は、パントキックの平均飛距離に基づいています。平均的なパントキックでは、ボールが蹴られてから地面に着地するまで約4.5秒かかります。この4.5秒という時間が、40ヤード走の基準として採用されました。

40ヤード走で4.5秒を切ると、RB、WR、DBの選手はNFLコンバインにおいて平均以上のスピードを持つと評価されます。

記録

電気計測が導入された1999年以降のNFLコンバインにおける最速記録は、2024年にゼイビア・ウォージーが記録した4.21秒です。非公認記録としては、1986年にダレル・グリーンが4.09秒、ボー・ジャクソンが4.12秒（または4.13秒）を記録しています。陸上選手のクリスチャン・コールマンも4.12秒を記録したと主張していますが、これも非公認記録です。

最高速度

Reel Analyticsによると、40ヤード走における歴代最高速度は、2022年にKalon Barnesが記録した4.23秒時の25.1mph（40.39km/h）です。2023年以降のNFLコンバインでは、公式に最高速度が計測されており、2023年にはケイリー・リンゴが4.36秒で走った際の24.55mph（39.51km/h）が最高速度となっています。

ゼイビア・ウォージーの4.21秒時の最高速度は24.41mph（39.28km/h）であり、タリク・ウォーレンの4.26秒時の24.8mph（39.91km/h）や、Bo Meltonの4.34秒時の24.5mph（39.43km/h）、ケイリー・リンゴの4.36秒時の最高速度を下回っています。

40ヤード走は、単に速く走るだけでなく、瞬発力や加速能力が重要となる競技です。そのため、より長い距離を走る陸上競技とは異なる特性を持っています。

競技性

アメフトでは、コーナーバックなどの一部ポジションを除き、40ヤードを走る機会は多くありません。特に、オフェンシブラインマンなど10ヤードも走らないポジションでは、40ヤード走は重要視されません。そのため、10ヤード地点でのスプリットタイムが重視されます。10ヤード走の最速記録は、2008年にクリス・ジョンソンが40ヤード走4.24秒で走った際に記録した1.40秒です。

陸上競技との相違点

陸上競技の短距離走では、スターターピストルの音から0.24秒以内の反応時間が求められます。しかし、40ヤード走ではスタートのタイミングは選手に任されており、陸上競技のような反応時間は求められません。

また、40ヤード走はNFL独自のテスト項目であり、国際陸上競技連盟が定める陸上競技種目には存在しません。スタート方法や加速区間の適性などが異なるため、40ヤード走で好記録を出しても、陸上競技で好記録を出せるとは限りません。

NFLのワイドレシーバーであるジャコビー・フォードは、2010年のコンバインで4.28秒を記録しましたが、クレムゾン大学時代の60メートル走のベストタイムは6.51秒であり、世界歴代72位（1999年以降では歴代59位タイ）です。

NFLのワイドレシーバーであるトリンドン・ホリデーは、100メートル走の自己ベストが10.00秒で、NCAA100mで優勝していますが、2010年のNFLコンバインでは4.34秒を記録しています。

2017年にジャスティン・ガトリンがNFLに挑戦した際、40ヤード走は4.42秒でした。NFL挑戦後、カナディアン・フットボール・リーグのトライアウトで4.25秒を記録したとされています。

2017年にクリスチャン・コールマンが4.12秒を出したと主張していますが、記録に疑念が向けられています。

2019年にウサイン・ボルトが4.22秒を記録していますが、これも記録に疑念が向けられています。

まとめ

40ヤード走は、アメフト選手のスピードと加速力を評価するための重要な指標です。NFLスカウティングコンバインにおける記録は、選手の評価に大きく影響します。陸上競技とは異なる特性を持つため、40ヤード走の記録だけで選手の能力を判断することはできませんが、アメフトの特定のポジションにおいては重要な要素となります。

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