5五の龍

5五の龍と虹色四間

『5五の龍』（ごごのりゅう）は、将棋をテーマにした漫画作品であり、その著者はつのだじろうです。この作品は、1978年から1980年にかけて『週刊少年キング』で連載され、将棋の魅力を広める一助となったと評価されています。本稿では、この作品の概要や特徴、さらには続編とも言える『虹色四間』（にじいろしけん）についても解説します。

概要

『5五の龍』は、1978年から1980年まで『週刊少年キング』に連載され、単行本はヒットコミックスとして全10巻が発売されました。その後、愛蔵版として全2巻が、そして中公文庫コミックス版として全6巻が刊行されています。この作品は当時の将棋界の情勢や棋士の生活を詳細に描写しており、読み手に将棋に対する理解を深めさせる効果がありました。

作品が誕生した背景には、当時の編集長からの依頼があります。つのだじろうは将棋に精通していたため、対局を漫画化する難しさを理解しつつも、『少年誌唯一の本格将棋漫画』としての道を選び、緻密な研究を重ねました。また、作者の多趣味さや凝り性も影響を与え、特に父親との対局が大きな動機となったと言われています。実際、連載当初にはアマ三段の段位を持ち、後に推薦によってアマ四段に昇進しています。

特徴

本作の特徴の一つは、将棋の駒の動きが非常にわかりやすく描かれている点です。特に初心者や中級者向けに、重要な局面ではページを多く費やし、読者が棋譜を理解しやすいように工夫されています。これにより、棋力がある程度ある読者は、実際に盤や駒がなくても内容を楽しめるようになっています。

さらに、将棋連盟や奨励会の運営、将棋のマナーや歴史など、将棋界全体についても自然に知識が得られるように描かれています。裏社会や奨励会の厳しさについても触れられ、他の将棋漫画とは異なるリアリティが感じられる作品となっています。また、本作はプロ棋士による監修が多く行われており、特に重要な局面の分析は専門家によるものです。このような要素が重なり、将棋を愛する人々にとって非常に価値のある作品となっています。

ストーリーにおいても、将棋の技術や戦術が優先されるだけでなく、主人公の成長物語や、仲間たちとのドラマが描かれています。特に、欠点を抱える主人公が将棋を通じて成長していく様子は、将棋にあまり詳しくない読者にとっても魅力的です。これに関しては、棋士たちの推薦文も多く寄せられており、例えば中原誠は「マンガとしての面白さも一級、棋書としても名著に加えたい一冊」と評価しています。

あらすじ

物語は中学生の駒形竜が主人公です。彼は宿題を手伝うアルバイトをしながら、将棋に没頭する日々を送っています。そのなかで、父親との将棋の関係が物語を推進する重要な要素となっています。ある日、父親の代わりに真剣師との対決が繰り広げられ、その因縁は物語全体に影響を与えていきます。このように、『5五の龍』は将棋というテーマを基にしつつ、人間の成長や親子の絆を描いた感動的な作品でもあります。

続編である『虹色四間』では、以降の将棋界を舞台に新たなキャラクターが登場し、駒形竜を含む旧キャラたちがどのように関わるのかが描かれています。将棋の魅力をさらに広げる作品となっており、読者に深い感銘を与えることでしょう。

このように『5五の龍』とその続編『虹色四間』は、将棋の技術や戦術だけでなく、人間ドラマを通じて多くの人々に感動を与え、将棋界の魅力を伝える重要な作品です。

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