54式魚雷

試製54式魚雷の概要

試製54式魚雷は、海上自衛隊が1955年に使用を開始した長魚雷で、技術研究本部がその開発を手がけました。当初の呼称はG-1から4Bまでの番号が付けられました。この魚雷は、旧米海軍のガトー級潜水艦「くろしお」とともに提供されたMk.14魚雷に続くものであり、1955年から始まる運用に向けた開発の一環として位置付けられました。

当時、警備隊は丙型警備船、すなわち魚雷艇の整備を進めており、これに搭載するために長魚雷の開発が急務とされていました。そのため、音響標的という名称で知られるこの魚雷の開発は、保安庁技術研究本部の主導のもと、歴史ある三菱重工業長崎造船所が中心となって進められました。さらに、誘導システムについては日本電気（NEC）が関与し、動力用電池や電動機の分野では多くの国内メーカーが参画しました。1955年3月には試作機が完成し、ドイツのG7シリーズや米国のMk.32短魚雷の設計が参考にされました。

最初に開発された1型は魚雷艇専用でありましたが、発射地点での海底沈没といった深刻な問題が発生しました。これらを改善することを目的に、試製54式2型が開発され、水平ホーミング誘導システムを搭載しました。このモデルは、試製54式53センチ4連装水上発射管HO-401から発射されましたが、魚雷本体の強度や誘導性能に課題が残り、さらに改良が必要となりました。

続いて開発された試製54式3型は、それまでの技術を集大成したもので、4行4段に配置された磁歪素子を用いた受波器を採用しました。1958年度から1960年度にかけて、約60本が生産され、主にあやなみ型やあきづき型の護衛艦に搭載されましたが、魚雷の喪失など依然として問題が残りました。その後、試製54式シリーズの中でも最多数となる60本以上が生産された3型改1が開発され、1966年には実用試験を終了しました。

試製54式魚雷は、当初は主に第二次世界大戦レベルの潜水艦を想定して設計されていましたが、高速化を遂げた当時の潜水艦に対しては性能が不十分との批評もあり、時代の変化に伴う課題が残りました。これにより、さらなる改良が求められ続けているのです。

参考文献

香田洋二「国産護衛艦建造の歩み(第5回) 第1次防衛力整備計画以前 昭和29-32年度」『世界の艦船』第778号、海人社、2013年5月、146-153頁。

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