54-71

54-71

54-71（ごじゅうよんのななじゅういち／ごーよん・なないち）は、1995年に結成された日本のオルタナティブ・ロックバンドです。その活動は2009年頃から実質的に休止しています。

概要

彼らの音楽性は極めてユニークで、特に活動初期には楽器の音数を徹底的に削ぎ落としたミニマルで無機質なサウンドが特徴でした。その上に乗るボーカルは、感情的ながらもどこか掴みどころのない、唯一無二のラップスタイルで表現されます。ヒップホップ、ロック、オルタナティブ、ジャズなど、多様なジャンルの音楽を愛好し、それらを融合させた結果生まれたサウンドは、既存の枠に収まらない独自の雰囲気を放っています。メンバー自身は、自らのスタイルを「スカ・コア（スカスカなハードコア）」と形容していました。歌詞の大半は英語で書かれていますが、これは特定の意図があるわけではなく、メンバーが普段から英語圏の音楽を好んで聴いていたことに由来します。

2009年1月以降、バンドとしてのライブ活動は行われておらず、同年にリリースされたKOOL KEITHとのコラボレーションアルバム『IDEA OF A MASTERPIECE』以降は、メンバーそれぞれの多忙により実質的に活動休止状態となっています。2021年時点では、メンバーの多くが音楽活動以外の本業に軸足を置いており、継続的に表立った音楽活動を行っているのはドラムのBoboのみとなっています。

メンバー

現在のメンバーと主な元メンバーは以下の通りです。

Bingo （ボーカル）: 本名：佐藤慎吾。活動初期にはキーボードを担当した時期もあります。ライブ中に見せる独特の奇妙な動きは、幼少期に教えられた活元運動にルーツを持つと言われています。結成当初からのメンバーですが、初期に二度脱退と再加入を経験しています。音楽活動以外では実業家としても活躍し、2012年に『VICE Japan』を設立して2020年まで代表を務めました。退任後はLeaderと共にデジタルメディア「Organization LLC」を立ち上げています。また、2014年には野外フェス『StarFes.’14』を主催し、PUBLIC ENEMY、NAS、Erykah Badu、BOREDOMS、ZAZEN BOYS|ZAZEN_BOYSといった国内外の通好みのアーティストを招聘しました。
Leader （ベース）: 本名：川口賢太郎。バンド結成時はドラムを担当していました。一般的なバンド編成ではドラムが置かれるステージ中央でベースを演奏し、ドラムはステージ下手側でプレイするというユニークな立ち位置でした。これはドラムのBoboの希望によるものですが、元ドラマーであるLeader自身は違和感なく演奏できたと言います。観客に背を向けて演奏することも多かったとされています。音楽活動と並行して、ウェブメディア『VICE Japan』の編集長や『Libertin DUNE』の副編集長を務めるなど、多方面で活動。2020年にはBingoと共に「Organization LLC」を設立しています。
Bobo （ドラム）: 本名：堀川裕之。1997年に加入しました。ボクサーパンツのように短い短パンと長髪がトレードマークとして広く知られています。バスドラム、スネアドラム、ハイハットという「三点セット」にタンバリンを加えた非常にシンプルなドラムセットを使用することが特徴です（楽曲によってはカウベルやウッドブロック、初期にはクラッシュシンバルも使用）。54-71での活動以外にも、くるり、MIYAVI、フジファブリック、TK（凛として時雨）など、数多くの著名アーティストのサポートドラマーとしても活躍しています。2012年の『FNS歌謡祭』でMIYAVIのサポートを務めた際、その風貌が笑い飯の西田幸治に似ているとSNSで話題となり、MIYAVIの楽曲ミュージックビデオでBoboと西田が入れ替わるという共演が実現しました。
Sniper （ギター）: 本名：高田拓哉。別名デューク高田。2007年にバンドにギタリストとして加わりました。現在は音楽活動と並行して『VICE Japan』でオペレーション・マネージャーを担当しています。

元メンバー

Scum Grinder （元ギター）: 本名：高田憲明。2004年にバンドを脱退しました。ライブ時にはウェットスーツを着るなど、非常に個性的なファッションでパフォーマンスすることが多かったメンバーです。現在は高知県に在住しています。
石橋 （元ベース）: バンド結成時のメンバーでしたが、1996年初頭に脱退しました。
岩端 （元ベース）: 1996年初頭に石橋の後任として加入し、ファーストアルバムで演奏しました。1997年後半に脱退しています。

来歴

54-71は1995年、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスで出会った川口賢太郎、佐藤慎吾、石橋の3人を中心に結成されました。その後、高田憲明（Scum Grinder）が加わり4人編成となりますが、1996年初頭に石橋が脱退し、代わって岩端がベーシストとして加入します。

1997年にファーストアルバム『54-71』をリリースしますが、同時期に佐藤と岩端が脱退するという事態を迎えます。これにより、結成当初ドラムを担当していた川口がベースに転向し、新たなドラマーとして堀川裕之（Bobo）が加入します。

1998年には佐藤がバンドに再加入し、「free cd」のレコーディングを行いますが、翌1999年4月には再び脱退。その後3ヶ月間は、残ったメンバーである川口、堀川、高田憲明の3ピース編成でライブ活動を行い、この間ギターの高田がボーカルを兼任しました。同年7月、佐藤がバンドに三度目の加入を果たし、再び4人編成となります。

ライブ活動を通じて徐々に注目度を高め、2000年には新録音版のセカンドアルバム『54-71』とサードアルバム『Untitled』を立て続けにリリース。当時、ナンバーガール（現ZAZEN BOYS|ZAZEN_BOYS）の向井秀徳氏から「今もっとも対バンしたいアーティスト」として名前を挙げられるなど、オルタナティブシーンで高い評価を得ました。

2002年にはBMGファンハウスよりアルバム『enClorox』を発表し、メジャーデビューを果たします。

2004年にはベストアルバム『ALL SONGS COMPOSED&PERFORMED BY 54-71』をリリースした後、ギタリストの高田憲明が脱退。これに伴い、バンドは佐藤をキーボードとして迎えた3人編成のインストゥルメンタルバンドとして活動を続けます。

2007年、新たなギタリストとして高田拓哉（Sniper）が加入し4人編成に戻ります。同年にシカゴへ渡り、著名な音楽プロデューサーであるスティーヴ・アルビニのもとでアルバム『I'm not fine,thank you.And you?』のレコーディングを敢行。この作品は、バンド自身が中心となって設立したレーベル「contrarede」から2008年にリリースされました。

2009年頃からは、メンバー各自が抱える多忙なスケジュールの影響により、バンドとしての活動は事実上休止状態となっています。

ディスコグラフィー（一部）

アルバム

54-71 (1997)
54-71 (新録, 2000)
"untitled" (2000)
reprise (2001)
enClorox (2002) - メジャーデビューアルバム
true men of non-doing (2003)
ALL SONGS COMPOSED&PERFORMED BY 54-71 (2004) - ベストアルバム
I'm not fine,thank you.And you? (2008)
KOOL KEITH ＆ 54-71『IDEA OF A MASTER PIECE KOOL KEITH』(2009) - コラボレーションアルバム

シングル/EP

54-71 free cd (1999)
54-71 EP (2005) - 3人編成期のインスト作品

その他、様々なオムニバスや他アーティストの作品への参加、楽曲提供などを行っています。

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