596 (核実験)

596計画：中国初の核実験の詳細

596計画（簡体字：596工程・邱小姐、英語：596 Project, Chic-1）は、1964年10月16日に中国が初めて実施した核実験のコードネームです。この実験は、中国の核開発における重要な転換点となり、国際社会に大きな影響を与えました。

実験の概要

1964年10月16日午後3時（日本時間午後4時）、中国は新疆ウイグル自治区ロプノール実験場において、高濃縮ウランを用いた初の核実験を実施し、核爆発に成功しました。この実験は、当時開催中であった東京オリンピックの期間中に行われたことでも注目を集めました。

この実験により、中国はアメリカ、ソ連、イギリス、フランスに次いで世界で5番目、アジアでは初の核保有国となりました。実験の成功後、中国政府は「核兵器開発の目的は核保有国の核独占を打破し、核兵器を廃絶することである」と声明を発表し、核兵器保有国および将来的に核兵器を保有する可能性のある国々に対し、核兵器不使用を約束する首脳会談の開催を提案しました。

各国の反応と対応

各国首脳の反応

アメリカのディーン・ラスク国務長官は、中国の首脳会談提案を拒否しました。さらに、中国が2回目の核実験を間もなく行うであろうと予測し、この実験がアメリカが1945年に行った最初の核爆発（TNT火薬2万トン級）に相当すると述べました。

イギリス労働党の新内閣は、この実験がアジアの軍事情勢に大きな影響を与えないという見解を示しました。一方、日本の鈴木善幸官房長官は、中国への抗議文書を送らない方針を表明し、核実験の繰り返しを避けるために部分的核実験停止条約への参加を求めました。

中国の周恩来首相は、日本の池田勇人首相に対し、核兵器の全面禁止と廃棄を主張しており、核実験はやむを得ない措置であったという書簡を送りました。また、中国の核兵器保有は防衛目的であり、先制使用しないという立場を表明しました。

日本国内の反応

広島市の浜井信三市長は、中国の核実験を「被爆を体験した広島市民だけでなく、人類にとって悲しむべきこと」と述べました。広島県原水協の佐久間澄理事長は、中国が核実験を行ったことを残念に思いつつも、沖縄問題や原子力潜水艦の寄港問題などにより、日本が中国に抗議できない状況を憂慮しました。

原水禁広島協議会の伊藤満事務局長は、中国の実験を遺憾としつつ、その背景を冷静に検討する必要性を訴えました。

広島市原爆被爆者協議会、広島県被団協、広島・アウシュビッツ委員会は、中国の核実験に抗議電報を送りました。世界平和アピール7人委員会は、核兵器保有国に対し、核実験の全面阻止と完全軍縮への道を拓くよう求めました。

日本社会党は周恩来首相に抗議電報を送ることを決定しました。一方、日本共産党の宮本顕治書記長は、中国の核実験は祖国防衛だけでなく、アジアにおける核戦争を防止するための防衛的措置であると擁護しました。

その後、核禁広島県民会議や原水禁広島協議会も抗議声明や電報を出し、南原繁や大江健三郎ら24人の知識人も抗議の声明を発表しました。

放射能影響評価

防衛庁は自衛隊機を用いて高空放射能塵の収集調査を開始しました。新潟大学理学部は、新潟市内に降った雨から中国の核実験の影響とみられる強放射能塵を検出しました。内閣放射能対策本部は、放射能は少量で心配ないと発表しましたが、アメリカ原子力委員会は、中国の核実験がウラン235を使用していることを発表し、中国の核技術の高さを裏付けました。

まとめ

596計画は、中国が核保有国としての地位を確立した重要な出来事であり、その後の国際関係や核軍縮の議論に大きな影響を与えました。この実験は、核兵器開発の複雑さとその影響を深く理解するための重要な事例と言えるでしょう。

関連情報

中国の核実験
第9学会

外部リンク

China's Nuclear Weapons
中国が初の核実験 - NHK放送史
1964年10月16日の中華人民共和国声明
1964年10月16日の新聞コミュニケ
* 596実験の映像 - ウェイバックマシン（2015年8月10日アーカイブ分）

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