ロプノール

ロプノール（ロブノール）についての詳細

ロプノールは、中央アジアのタリム盆地、特にタクラマカン砂漠の北東部にかつて存在した内陸湖であり、その独特な特徴から「さまよえる湖」とも呼ばれています。この湖の位置は、現在の中国・新疆ウイグル自治区のバインゴリン・モンゴル自治州にあたります。ロプノールには周囲の山々から流れる雪解け水が供給されていましたが、湖からは流出する水がないため、その水は急速に蒸発し、塩分が蓄積されていきました。その結果、紀元前1世紀には大きかった湖も、4世紀に入る頃には干上がったと考えられています。

タリム盆地の形成

タリム盆地自体はヒマラヤ造山運動に伴って形成され、約2万年前の最後の氷期の終わりに極めて広大な湖として知られていましたが、気候の変化により、次第に水が失われ、砂漠化が進行しました。ロプノールはこの過程で湖の最後の名残とされ、この特殊な環境が彼らを独特のものにしています。

1901年に中央アジアを探検した学者は、ロプノール周辺の地形に注目し、湖の位置は気候や水の供給に応じて変わると主張しました。「さまよえる湖」の考えは、多くの探検者や研究者に支持されました。さらに、1921年にはこの湖が再び姿を現すという予言が的中し、タリム川の流れが変わったことから一時的に水をたたえていました。水の供給量は雪解けや降雨によって変わるため、ロプノールは活発な水域である時期もありましたが、その後ダム建設などの影響で再び砂漠となってしまいました。

歴史的背景

ロプノールは古代から「塩沢」や「蒲昌海」という名前で知られ、紀元前1世紀頃の文献には、その大きさについて記述があります。シルクロードの重要な経路の要衝であった楼蘭が存在した時代、ロプノールは相対的に重要な湖でした。しかし、3世紀以降は地域全体が乾燥し始め、楼蘭は水の枯渇に伴い急速に衰退していきました。この結果、シルクロードのルートも変わり、敦煌やトルファンを経由するようにシフトしていきました。

彼の時代から数世代後、マルコ・ポーロが訪れた際には湖のことには触れられていませんでしたが、ロシアの探検家プルジェヴァリスキーは、タリム川の下流域を探検し、新たに発見された湖がロプノールであると主張しましたが、これに対して異論も多く、混沌とした状況が続きました。最終的に、スヴェン・ヘディンがこの地域に関する詳細な調査を行い、ロプノールが再び湖として復活する可能性を示唆しました。このことが広まり、ロプノールは「さまよえる湖」として記憶に刻まれることになりました。

核実験と近代の変遷

1964年からロプノールの周辺は核実験場となり、立ち入り禁止区域となりましたが、湖床には実験が行われたことはありません。1980年代以降、立ち入りが再び認められたことで、多くの探検者が訪れるようになりました。現在、ロプノールは干上がり、その湖面は消滅しています。こうした水資源の枯渇は上流のダム建設や、気候変動、さらには環境管理の不備によるものとされています。また、ゴーストタウンのようになったロプノール周辺は観光地としても注目されています。

現在のロプノールの状況

現在のロプノールは、干上がった湖床と化していますが、観光ツアーが組まれ、湖の中心部には探検者たちによる記念碑が立てられています。さらに、今後は再生可能な水源がこの地域に持ち込まれる可能性が期待されているものの、厳しい砂漠環境は依然として大きな障害となっています。特に、この地域には巨大な構造物が築かれ、肥料生産用のプラントが設置されています。これにより、周辺に新しい経済活動の芽が生まれる可能性が出てきています。ロプノールは、過去の栄光を想起させる一方で、新たな可能性を秘めた場所として注目され続けています。

もう一度検索