6.5mmクリードモア

6.5mmクリードモア弾：精密射撃と軍事利用を支える高性能ライフル実包

6.5mmクリードモア（6.5mm Creedmoor）は、2007年にホーナディ社によって開発されたセンターファイア・ライフル銃用の実包です。そのルーツは.308ウィンチェスターをベースにした.30 TCにあります。6.5 Creedmoor、6.5 CM、6.5 CRDMRなどと略されることもあります。

設計

6.5mmクリードモアは、特に標的射撃での利用を念頭に置いて設計されましたが、狩猟用としても成功を収めています。全長が2.825インチ (71.8 mm) と比較的コンパクトであるため、ショート・アクションのボルトアクションライフルやAR-10半自動ライフルに装填できるのが特徴です。

一般的に、6.5 mm (0.264") 弾頭は高い断面密度と弾道係数を持つため、ライフル射撃競技で優れた成績を残してきました。6.5mmクリードモアは、軽い弾頭を使用することでリコイルを抑えつつ、.300ウィンチェスター・マグナムに匹敵する初速と弾道を実現するレシピも存在します。

この実包は、直径0.473インチ (約12 mm) のボルトフェイス用に設計されています。そのため、ショート・アクションライフルを別の口径（.22-250レミントン、.243ウィンチェスター、.300サベージなど）に変更する際、一般的には銃身の交換のみで対応できます。

性能

6.5mmクリードモアは、.260レミントンや6.5×47mmラプアと比較されることが多いですが、威力は中程度と言えます。129 grのホーナディSST弾頭を使用した場合、300ヤード地点でのエネルギーは1641 ft·lbfと報告されています。また、別の報告では、初速2700 fpsで140 grの弾頭を使用した場合、265ヤード先の高さ6インチの標的に対する最大直線弾道距離が得られ、26インチ銃身使用時の300ヤードにおける残存エネルギーは、メーカーの主張で約1600 ft·lbfとされています。

SAAMI（アメリカスポーツ射撃武器弾薬製造者協会）のテストデータによると、6.5mmクリードモアの初速は、129 gr弾頭で2,940 fps、140 gr弾頭で2,690 fpsです（銃口から15フィート地点）。参考までに、.300ウィンチェスターマグナムは200 gr弾頭で2,930 fps、210 gr弾頭で2,665 fpsです。

長距離射手のRay "RayDog" Sanchezは、1000ヤード (914.4メートル) における6.5mmクリードモアのボルトアクション式Tubb 2000ライフルを「退屈するほど正確」と評し、同銃と実包で1000ヤードにおいてサブMOAのグルーピングを記録し続けていると主張しています。

手詰め

6.5mmクリードモアを手詰めする場合、ラプアのスモール雷管の薬莢を利用できるため、6.5×47ラプアなど他の6.5mm実包とコストはほぼ同等です。ノルマも2017年からこの実包用の薬莢を製造しており、ラプアの薬莢とほぼ同程度の価格で入手可能です。ラプアの6.5×47薬莢は12～20回使用できます。スターラインはラージとスモールプライマーポケット両方の薬莢を販売しており、スモール雷管の方がやや高価です。

6.5mmクリードモアが最初に導入された際、ケースは60,000 psiに耐えられると宣伝されましたが、製品版ではホーナディが62,000 psiと記載し、SAAMIも同様に登録しました。そのため、この実包を手詰めする際には、リローディングの経験が重要です。初期の射撃記事では、この実包の薬量は58,000 psiとされていましたが、後に57,000 psiに変更されました。これは、雷管突破が頻繁に発生するという苦情を受けて、ホーナディが工場装弾の薬量を減らしたためです。

派生

6mmクリードモアは、6.5mmクリードモアのネックダウン版で、6.5 mm弾頭よりも軽量でリコイルの小さい6 mm (.243インチ) 弾頭を使用します。2009年にOutdoor LifeのJohn Snowによって設計されました。

軍事利用

2017年10月、アメリカ特殊作戦軍SOCOMは、SR-25、M110A1、Mk 20のセミオートマチック狙撃銃において、7.62x51mm NATO弾、.260 Remington、6.5mmクリードモアの性能をテストしました。その結果、6.5mmクリードモアは7.62x51mm NATO弾よりも、1,000m (1,094yd) で2倍の命中率を達成し、有効射程をほぼ1.5倍に増大させ、風の影響を約3分の1に減少させ、反動も少ないという点で優れていると判断されました。

このテスト結果を受け、SOCOMは2019年初頭に、セミオートマチック狙撃銃において7.62x51mm NATO弾を置き換えるため、6.5mmクリードモアの採用を決定しました。SOCOMの採用に呼応して、国土安全保障省も6.5mmクリードモアの採用を決定しました。

6.5mmクリードモアは、その優れた性能から、精密射撃の世界だけでなく、軍事分野でも注目を集める実包となっています。

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