60式自走106mm無反動砲

60式自走106mm無反動砲

60式自走106mm無反動砲は、陸上自衛隊の普通科部隊によって使用されていた自走無反動砲であり、1979年までに製造されたのは253両、または267両との説も存在します。2008年にはすべての車両が退役しました。

概要

1960年に制式化されたこの車両は、第二次世界大戦後に開発された国産の装軌式装甲戦闘車両として特徴的です。61式戦車や60式装甲車など、1950年代以降に進められた国産兵器の一環であり、主に対戦車攻撃を任務としていました。隊員たちからは「106SP」という呼称で親しまれていました。また、1940年代から存在した歩兵直協用の小型戦車に由来し、「マメタン」という愛称もありました。

対戦車誘導弾の開発前は、4個対戦車小隊に完全に配備されていましたが、64式対戦車誘導弾が導入されると、運用形態が変更されました。主に対機甲戦闘や遠距離からの陣地攻撃に使用されていました。ジープなどの非装甲車両に搭載された無反動砲も見られましたが、純粋に装甲車両としての自走無反動砲は60式とアメリカのM50オントス以外には存在しませんでした。

開発の経緯

60式自走106mm無反動砲の開発は、1955年の自衛隊装備調達予算に関するクレームに端を発します。防衛庁技術研究所は、1954年から開発を進めていた無反動砲を搭載した自走式無反動砲の計画を立て、三菱重工業と小松製作所に依頼しました。

初期の試作車両はSS-1とSS-2が開発され、静岡県の陸上自衛隊富士学校で評価試験が行われました。61式戦車の開発が進む中、小松製作所が主導する形で開発が続けられ、最終的に1960年に「60式自走106mm無反動砲」として正式に採用されました。車体は小松製作所が製造し、無反動砲は日本製鋼所によって作られました。

特徴

この兵器は車高1.38mと非常に低く、車体の右側には主砲として106mm無反動砲が2門搭載されています。乗員は車長、操縦手、装填手の3名で、車長席は主砲架と一体化しています。アルミ合金製の薄い装甲は敵の攻撃に対して脆弱であり、確実に敵戦車を破壊するために2門搭載されていました。

射撃時にはスポットライフルで照準を合わせ、主砲を発射します。しかし、無反動砲の発砲時には強い後方爆風が発生し、敵に発見されやすいことが欠点となりました。発砲後は迅速に後退し、陣地を変える必要がありました。部隊によっては、状況に応じて非装甲目標を攻撃する運用も検討されたとされています。

バリエーション

60式にはいくつかのバリエーションがあり、初期のSS-1から概して改良が行われたSS-4まで存在します。量産型はA型からC型までがあり、特にB型は主要な生産型で143両が製造されました。

映画や小説での登場

この自走無反動砲は、映画『ゴジラ』シリーズや小説『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』などにも登場しており、自衛隊車両としての印象を残しています。ゲーム『War Thunder』でも登場し、日本の駆逐戦車として人気があります。

以上が、60式自走106mm無反動砲に関する概要と特長です。この兵器は、陸上自衛隊の歴史において重要な役割を果たしてきました。

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