60式3t雪上車

60式3t雪上車

60式3t雪上車（ろくまるしきさんトンせつじょうしゃ）は、かつて陸上自衛隊に配備されていた特殊な車両で、中雪とも呼ばれました。この雪上車は、特に積雪地域での人員輸送や哨戒任務を遂行するために開発されました。

開発の背景

1950年、警察予備隊が設立されると、アメリカから供給されたM29C輸送車が雪上車として導入されました。しかし、日本の特異な雪の特性に適した車両が求められるようになり、国産の雪上車開発の必要性が高まりました。民生用の雪上車がある程度のレベルに達していたことと、警察予備隊から保安隊への組織変更を機に保安庁技術研究所が設立されたことにより、開発が加速されました。

開発初期には、M29Cと国産の2種類の雪上車（SM5ふぶき、KC20-1スノージープ）の比較試験が実施されました。早急に部隊に配備する必要があったため、技術研究所は迅速な製造と運用試験を重視し、問題点の改善を続けました。部隊からの要望や過去の運用実績を元に、一連の開発目標が定められました。

開発と試作

開発プロセスでは、輸送、偵察、連絡、さらには105mm砲の牽引を目的としたウェポン車と、クレーンやウィンチを装備した雪上レッカー車が設計されました。1953年7月にウェポン車が完成し、同年11月には雪上レッカー車が完成しました。これらの試作車両は、1954年の初めから各種試験を経て、改良が加えられました。

1955年には、53式改造車両をもとに54式3t雪上車が製造されましたが、さらに55式3t雪上車が設計され、この時点では中隊単位での配備が考慮されました。55式では、過去の試験で認識された問題や要望を反映しており、特に105mm砲への牽引は見送られ、代わりに75mm砲へと切り替えられました。試験中には騒音や振動に関する問題が浮上し、それによって部品の故障や損傷が引き起こされることが明らかになりました。

このような問題に対しては、2016年までの5年間にわたり解決に向けた取り組みが続けられました。1959年には改良が施され、1960年に正式に60式3t雪上車として導入されることになりました。この車両は1961年から本格的に部隊に配備され、1977年までに409両が生産されました。

仕様

60式3t雪上車の主な仕様は以下の通りです。全長は4,070mm、全幅は1,980mm、全高は2,050mmで、重量は3,770kgです。最大積載量は900kgで、乗員は2名が搭乗可能です。最高速度は36km/h、行動距離は100kmを誇り、登坂能力は約tanθ25%です。水冷式4サイクル6気筒ガソリンエンジンを搭載し、出力は105psです。製作は小松製作所と大原鉄工所が担当しました。

まとめ

このように、60式3t雪上車は日本の雪上車開発史における重要な一環を占めており、次世代の運用に向けた技術的な貢献が評価されています。現代の急速な技術進化の中でも、その歴史的背景や技術は参考にされ続けています。

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