658km、陽子の旅

『658km、陽子の旅』

概要

『658km、陽子の旅』は、2022年に公開された日本のドラマ映画で、主人公の陽子が東京から故郷の青森県弘前市への旅を通じて、孤独を克服し、他者と向き合う様を描いたロードムービーです。本作は、「TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM 2019」の脚本部門で審査員特別賞を受賞した室井孝介の脚本に基づき、映画『海炭市叙景』や『私の男』の熊切和嘉監督が手掛けています。主演の陽子を演じたのは、国際的に活躍する女優、菊地凛子であり、彼女の周囲を固めるキャストには竹原ピストル、黒沢あすか、見上愛、浜野謙太、仁村紗和など多様な面々が揃っています。

本作は2023年に開催された第25回上海国際映画祭で最優秀作品賞、最優秀脚本賞（室井孝介・浪子想）、最優秀女優賞（菊地凛子）の三冠を達成しました。

あらすじ

陽子（菊地凛子）は、就職氷河期世代の42歳で、独身の在宅フリーター。人生に絶望し、東京で孤独な生活を送っていました。そんな彼女に、20年以上連絡を取っていなかった父の訃報が届きます。父の夢を反対していた陽子は、彼の死を受け入れられずにいますが、従兄の茂（竹原ピストル）の強引な勧めで彼の家族と共に故郷の弘前へ向かうことに。

しかし、道中のサービスエリアでトラブルに巻き込まれ、陽子は置き去りにされてしまいます。出棺時刻の迫る中、乏しい資金でどうすることもできず、彼女はヒッチハイクを試みることに。これまで避けてきた他者との交流が、彼女に心の変化をもたらすことになります。

旅の途中で、陽子は様々な人々と出会います。デザイン会社のシングルマザー・久美子（黒沢あすか）、ヒッチハイクの少女・リサ（見上愛）、作家・若宮（浜野謙太）など、多様なキャラクターたちとの関わりを通して、彼女は少しずつ心の痛みを解きほぐしていきます。

陽子の過去、特に父との断絶状態にあった20年間に向き合うことで、彼女はどのように自分自身を取り戻していくのか。そして、旅は彼女にどんな変化をもたらすのか。観る者に多くのことを問いかける物語が展開します。

キャスト

• - 陽子 - 菊地凛子: 主人公で、就職氷河期世代の独身女性。父の訃報をきっかけに旅に出る。
• - 工藤茂 - 竹原ピストル: 陽子の従兄で、彼女を危機から救おうとするが、結果的に置き去りにしてしまう。
• - 立花久美子 - 黒沢あすか: 毒舌のシングルマザー。
• - 小野田リサ - 見上愛: ヒッチハイクの少女。
• - 若宮修 - 浜野謙太: 陽子を車に乗せるライター。
• - 工藤昭政 - オダギリジョー: 陽子の父。彼女の心の中で幻影として現れる。

御製作

本作は、カルチュア・エンタテインメントを中心とした製作委員会によって製作され、音楽はジム・オルークが手掛け、エンディングテーマには石橋英子が起用されています。

『658km、陽子の旅』は、自己探求の物語であり、孤独を乗り越える力を描いた作品です。

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