67式30型ロケット弾発射機

67式30型ロケット弾発射機

67式30型ロケット弾発射機（ろくななしきさんじゅうがたロケットだんはっしゃき）は、日本の陸上自衛隊に所属する装輪式の自走ロケット弾発射機です。これは1945年の第二次世界大戦以降、日本で初めて実用化された大型ロケット兵器であり、その設計は国土への侵攻を試みる敵勢力に対抗するために開発されました。技術的には、当時の陸上自衛隊の装備品の中で最も長射程を誇り、また弾頭の威力でも最も優れたものでした。1957年からその開発が始まり、1968年より各部隊への配備が行われました。自衛隊内では略称のR-30で知られています。

開発の背景と技術的評価

67式30型ロケット弾発射機は、完全に国産で開発されたことから、日本の兵器製造技術の進歩を示すものとされています。ただし、同時期に他国で開発された大型ロケット兵器と比べると、射程や弾頭の威力には劣る部分が指摘されました。連装での2発発射という方式では、命中精度を発射数でカバーするには限界があり、すぐに実用的な性能に達しているとは言えない微妙な評価が下されていました。それでも、この発射機の開発により得られた技術や運用の経験は、後の75式130mm自走多連装ロケット弾発射機などの設計や運用に大いに役立ったとされています。

構造と機能

67式30型ロケット弾発射機は、元々の4tトラックの荷台に、68式30型ロケットりゅう弾の2連装発射機を搭載しています。この発射機は、トラック荷台を基点にして運転席の上部まで伸びる発射レールを持ち、レールの先端は車両の後方へ突き出ています。発射機の仰角調整は可能ですが、水平方向には旋回機構がないため、ロケット弾は前上方にのみ発射される仕様です。67式30型ロケット弾装填機も開発されており、こちらは装填作業を支援する機材として整備されていました。装填機はクレーン装置を搭載し、最大6発の予備弾を重ねて搭載することができます。

諸元と配備状況

67式30型ロケット弾発射機の詳細な諸元は次の通りです：全長は8.24m、全幅は2.44m、全高は3.35m、重量は12tであり、最高速度は70km/hです。乗員は4名で、製造は日野自動車と日本製鋼所が担当しました。弾体となる68式30型ロケットりゅう弾は、全長4.5m、直径337mm、重量573kg、弾頭重量は227kgとなっており、最大射程は28kmに達します。このロケット弾は日産自動車の手によって製造されました。

67式30型ロケット弾発射機は、特科教導隊と北部方面隊直轄の第1特科団、さらにその下の2個特科大隊に配備されていました。生産された台数は48両であり、1992年には88式地対艦誘導弾によって全ての車両が退役しました。

文化的影響

このロケット弾発射機は、映画『ゴジラシリーズ』に複数回登場し、特に1984年版の『ゴジラ』では、自衛隊車両の一部として描かれるなど日本のポップカルチャーに影響を与えています。また、ホビーとしてもトミカなどの模型で再現されています。67式30型ロケット弾発射機は、その技術的特性だけでなく、文化的アイコンとしても日本の軍事史に名を刻んでいます。

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