695病院

695病院について

695病院（695びょういん、695병원）は、朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）の首都、平壌市に位置する病院です。この病院は、単なる医療機関としての役割だけでなく、北朝鮮の秘密工作活動とも深く関わっているとされています。

概要

695病院は、北朝鮮の工作員を養成する機関として知られる金正日政治軍事大学（別名、人民軍695軍部隊）の敷地内に存在します。大学の北端に位置し、食堂に隣接しているという立地から、大学関係者や軍関係者が利用することが想定されます。病院自体は、外部からはその実態がほとんど知られていない、謎に包まれた施設です。

北朝鮮による日本人拉致事件との関わり

2002年9月17日、当時の小泉純一郎首相が北朝鮮を訪問した際、北朝鮮側は拉致被害者に関して「5名生存、8名死亡」という衝撃的な発表を行いました。この時、金正日総書記は拉致事件を「特殊機関の一部による妄動主義、英雄主義者の仕業」と説明し、拉致の目的を「祖国統一事業のために日本語教師が必要だった」と述べ、公式に謝罪しました。そして、「8人は死亡し、5人とその家族は帰国させたから、問題は解決した」と主張しました。

しかし、この発表には多くの疑問が残りました。特に、横田めぐみさんの死亡とされた時期以降にも目撃証言が複数存在したことから、拉致被害者の家族や支援団体は北朝鮮の発表を強く疑いました。救う会（北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会）は、北朝鮮の発表から3日後の9月20日に「8人死亡」は虚偽であるという緊急声明を発表しました。

同年10月2日、拉致被害者の死因や現況について北朝鮮側から説明がありましたが、この時、横田めぐみさんを除く7名の拉致被害者の「死亡確認書」を発行したのが、この695病院でした。しかし、死亡場所や時間がそれぞれ異なるにもかかわらず、死亡を確認した医療機関が横田めぐみさん以外はすべて同じ695病院であること、さらに、695病院発行の死亡確認書に改竄の痕跡や誤記があることが判明したため、日本では北朝鮮側の死亡情報が虚偽である可能性が非常に高いと認識されるようになりました。

695病院の謎

695病院は、その存在自体が北朝鮮の秘密工作と深く関わっている可能性を示唆しています。この病院が拉致被害者の死亡確認書を大量に発行した事実は、北朝鮮が拉致事件の真相を隠蔽しようとしたのではないかという疑念を強く抱かせます。病院が金正日政治軍事大学という軍事関連施設内にあることも、この病院が通常の医療機関とは異なる特殊な役割を担っていることを示唆しています。現在においても、695病院の具体的な活動や内部の実態はほとんど解明されておらず、依然として多くの謎に包まれています。

結論

695病院は、北朝鮮の秘密工作に関わる重要な施設である可能性が高く、拉致問題の真相解明のためには、この病院に関する情報の収集が不可欠です。北朝鮮による拉致問題は、未だ多くの被害者が帰国できず、真相解明を求める声が絶えません。695病院の真相解明は、拉致問題の解決に向けた重要な一歩となるでしょう。

参考文献

荒木和博『拉致 異常な国家の本質』勉誠出版、2005年2月。
安明進 著、金燦 訳『北朝鮮拉致工作員』徳間書店〈徳間文庫〉、2000年3月。
安明進 著、太刀川正樹 訳『新証言・拉致』廣済堂出版、2005年4月。
西岡力『金正日が仕掛けた「対日大謀略」拉致の真実』徳間書店、2002年10月。
西岡力、趙甲濟『金賢姫からの手紙』草思社、2009年5月。
『横田めぐみは生きている 安明進が暴いた日本人拉致の陰謀』講談社〈講談社MOOK〉、2003年4月。

関連項目

金正日政治軍事大学
北朝鮮拉致問題

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