7人のシェイクスピア

7人のシェイクスピア

『7人のシェイクスピア』は、ハロルド作石による日本の漫画で、2010年から連載が開始された。物語は、ウィリアム・シェイクスピアの人生を中心に、彼の周囲で繰り広げられる愛や陰謀、そして時代背景を描いている。この作品は歴史を題材にした作品であり、作者にとって初の試みだったため、特に注目を集めた。

物語は1600年のロンドンからスタートし、当時の劇作家シェイクスピアの劇が庶民に人気を博している様子が描かれる。しかし、権力者たちがこの流行を疎ましく思っている一方で、シェイクスピアによる大評判の芝居『ハムレット』が別の劇団に売り込もうとする男と、その周囲の騒動が展開する。この中で、シェイクスピアの名声がどう形成されていったのか、その過程が興味深く語られる。

さらに物語は過去へ遡り、1587年のリヴァプールに移動する。ここでランス・カーターという名の男が、未来を予見する能力を持つ少女リーと出会う。リーは不幸な境遇にあり、周囲から白眼視されていたが、彼女の霊感がランスの創作活動に影響を与えていく。幼馴染のワースと中年の従僕ミルと共に、彼らは芝居創作に没頭し、運命の流れに引き込まれていく。

本作では劇団や市参事会との競争が描かれながら、友情や裏切り、壮大な歴史の流れの中でキャラクターたちが成長していく様子が見られる。また、シェイクスピアの作品が生まれる背景には、彼の内なる葛藤や人間関係が大きく影響を及ぼしている。

物語が進行する中で、ウィリアムは「ランス・カーター」と名乗り、さらなる成功を求めロンドンへと進出する決意を固める。1600年代のイギリスは宗教的に混乱を極め、生き延びるためには様々な選択を強いられた。そんな中で、シェイクスピアは自らの名声を築いていく。

その後の続編、『7人のシェイクスピア NON SANZ DROICT』では、ランス、リー、ワースたちがロンドンでの生活を始め、さらなる挑戦が待ち構えている。彼らは豊かな劇団がひしめくロンドンの舞台で頭角を現そうと奮闘し、脚本家としての成長に苦しみながらも、仲間たちとの絆を深めていく姿が描かれる。彼らの成功には、リーの詩才や仲間の助けが不可欠であり、物語はさまざまな人々との出会いや別れを通じて進行する。

作品全体を通し、友情や信頼、裏切りの要素がテンポよく描かれ、歴史的背景を踏まえつつも、読者を引き込む魅力がたっぷりと詰まっている。人間ドラマとしても、シェイクスピアの演劇創作に奮闘する姿は、読者に感動と共感を与えてくれる。結局のところ、『7人のシェイクスピア』は、魅惑的な時代背景と人間模様を描いた傑作であると言える。

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