7月4日に生まれて

映画『7月4日に生まれて』の概要

『7月4日に生まれて』（原題: Born on the Fourth of July）は、1989年に公開されたアメリカ映画で、ベトナム戦争をテーマにした作品です。この映画は、ロン・コーヴィックの同名自伝を原作としており、オリバー・ストーンが監督を務めています。

キャストと制作

主演にはトム・クルーズが起用され、他にもキーラ・セジウィック、レイモンド・J・バリー、フランク・ホエーリー、ウィレム・デフォーといった名優が出演しています。本作は、ストーン監督によるベトナム戦争映画三部作の一部であり、過去には『プラトーン』も手掛けています。特に、トム・クルーズは役作りのために1年間も車椅子生活を送り、その逼迫した演技が話題となりました。

本作は、第62回アカデミー賞で8部門にノミネートされ、監督賞と編集賞の2部門で受賞しています。

あらすじ

物語は1957年、アメリカ独立記念日である7月4日に生まれたロン（ロニー）の少年時代から始まります。彼はニューヨーク・ヤンキースが好きな普通の子供で、1961年にジョン・F・ケネディ大統領の就任式に感動し、自由のために戦う意義を感じます。家族や友人との関係を描きつつ、1962年には地元のハイスクールでレスリングに取り組みますが、思うような成果は出せずにいました。

1962年、キューバ危機やベトナム戦争の影が忍び寄る中、ロンは海兵隊への入隊を決意します。彼は、ドナというガールフレンドを抱えながらも、愛国心から前線へ行くことを選びます。その結果、1967年、海兵隊に入隊しベトナムでの戦闘に身を投じることとなります。

しかし、戦場では思わぬ悲劇が待ち受けていました。彼は民間人を誤って傷つけ、さらには友人をも誤射してしまう苦悩に苛まれます。やがて、ロン自身も負傷し、下半身不随となってしまいます。故郷に戻ると、今度は英雄としての扱いではなく、冷たい視線と非難が待っていました。

戦後の苦悩と反戦活動

ロンは、ベトナムから帰還した後、厳しい現実に直面します。リハビリの環境や医療システムの問題から、彼の心は徐々に壊れていきます。帰郷したロンは、周囲からの冷たい態度に心を痛め、自分が戦った国への愛国心が揺らいでいくのを感じます。その後、ロンは反戦運動に参加し、戦争の無意味さを訴え始めます。仲間たちと共にデモ行進を行う中、彼は自らの経験をもとに平和を求める声を上げるのです。

1976年、彼は自著を発表し、民主党全国大会で演説の機会を得ます。真実を語ろうとする彼の姿は多くの人々に支持されましたが、同時に彼が抱える痛みも深く影を落としています。戦争を経てのロンの人生は、愛国心と苦悩、善と悪の曖昧さを描いた感動的な物語です。

受賞歴と批評

本作は批評家から絶賛され、アカデミー賞やゴールデングローブ賞で多数の受賞を果たしました。しかし、中には批判的な意見も存在し、ストーリーの重さやメッセージに対する疑問が示されることもありました。

まとめ

『7月4日に生まれて』は、ベトナム戦争という過酷な現実を背負いながらも、愛と希望を求める一人の青年の壮絶な体験を描いた作品です。トム・クルーズによる力強い演技とオリバー・ストーンの卓越した演出が光る、心に響く映画です。

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