7.5 cm KwK 42

7.5cm KwK 42 (Kampfwagenkanone 42)

7.5cm KwK 42は、第二次世界大戦中にドイツのラインメタル・ボルジヒ社によって設計された戦車砲です。この砲は、その派生型である7.5cm KwK 44や、自動装填機構を備えた7.5cm KwK 44/2とともに、戦車の火力強化を目的に開発されました。

概要

この砲の起源は、1941年にVK30.02（後のパンター）用に発注された60口径砲です。1942年に行われた射撃試験では、1,400メートルの距離で100mm厚の傾斜装甲を貫通できる性能が確認され、この実績を基に貫通力を向上させるために70口径に延長されて、7.5cm KwK 42が誕生しました。

本砲は主にV号戦車パンター（Sd.Kfz.171）やその指揮戦車型（Sd.Kfz.267およびSd.Kfz.268）に搭載されました。また、ティーガーI（Sd.Kfz.181）の一部にも装備される計画がありました。さらに、IV号戦車/70(V)および(A)（Sd.Kfz.162/1）は対戦車砲として7.5cm PaK 42という制式名で使用され、IV号駆逐戦車やE-25及び駆逐戦車38D ヘッツァー（Sd.Kfz.138/2）への搭載も考えられていました。

1942年にヘラー社が試作した7.5cm PaK 40/42は、マズルブレーキを省いた設計が特徴であり、多様な戦車に応じた運用が進められました。これらの砲の最大の優位性は、非常に高い砲口初速により生まれる大きな貫通力です。この性能はティーガーIに搭載されていた8.8cm KwK 36を上回るものであり、特に1943年7月のクルスクの戦いでその実力が実証されました。

試験と評価

クルスクの戦いでは、7.5cm KwK 42を装備したパンター戦車が敵の火砲や戦車と対峙し、その高い貫通力を発揮しました。この戦闘において、パンター戦車は戦車兵から高い評価を受け、対戦車戦への貢献が際立ちました。

この砲の発射機構は、撃針ではなく電気式雷管が使用されており、他のドイツ製の戦車砲と同様に楔型尾栓を採用しています。射撃後、空薬莢が排出されると尾栓は開放されたままとなり、新たな砲弾を装填すると自動的に閉鎖されます。この際、装填手は安全性を確保するために、コツを学びながら砲弾を正しく扱うことが重要です。

性能と派生型

7.5cm KwK 42を基にした派生型には、シュコダ社によって開発された7.5cm KwK 44があり、これには駐退複座装置の配置変更が含まれています。KwK 44シリーズは、パンターF型に搭載される予定であり、設計は小型化を図ったシュマールトルム形状の砲塔に合わせたものでした。

結論

7.5cm KwK 42は、その高い性能からドイツ戦車の火力を大きく向上させ、多くの戦場で重要な役割を果たしました。今もなお、その技術的特徴と戦闘での実績は高く評価されています。

もう一度検索