726型エアクッション揚陸艇

726型エアクッション揚陸艇：中国海軍の重装甲車両揚陸能力を飛躍的に向上させた揚陸艇

726型エアクッション揚陸艇は、中国人民解放軍海軍の071型揚陸艦に搭載される、重車両揚陸を主任務とするエアクッション型揚陸艇です。従来の揚陸艇では困難だった重装甲車両や兵員輸送車の輸送を可能にし、中国海軍の揚陸作戦能力を大きく向上させました。

性能と能力

726型は、それまでの724型や722-II型に比べて格段に高い搭載能力を誇ります。724型は人員輸送が主で貨物搭載能力は低く、722-II型も搭載能力は約15トンと、装甲戦闘車両や重装輪貨物車の輸送には不向きでした。これに対し、726型は60トンもの搭載能力を持つとされ、複数の装甲兵員輸送車や重車両の同時輸送を可能にしています。搭載される車両の一例として、ZBD-05水陸両用装甲兵員輸送車が挙げられていますが、主力戦車の搭載可能性については情報が不足しており、今後の更なる調査が必要です。この搭載能力の向上は、中国海軍の迅速かつ効率的な揚陸作戦遂行に大きく貢献しています。

エンジンと設計

726型の動力源については、初期の3隻はウクライナ製のUGT 6000ガスタービンエンジン、残りの3隻は国産のQC-70ガスタービンエンジンを搭載しているとの情報があります。船体設計は、アメリカ海軍のLCAC-1級エアクッション揚陸艇と類似した点が見られますが、操縦室の位置や吸気口の構造など、いくつかの相違点も確認されています。LCAC-1級と同様に船体中央部に全通式車両甲板と前後ランプを備えている点は共通しています。

運用状況と役割

726型は、071型揚陸艦に搭載されて運用されています。具体的な運用例として、ソマリア沖における海賊対処任務に派遣された071型揚陸艦「崑崙山」への搭載が確認されています。この任務では、特殊部隊や臨検隊が726型と小型高速艇に搭乗し、警戒活動や臨検を実施しました。この事例から、726型が中国海軍の多様な作戦任務に柔軟に対応できる汎用性の高い揚陸艇であることが分かります。

LCACとの比較

726型は、アメリカ海軍のLCAC-1級エアクッション揚陸艇と外観が酷似していますが、操縦室の位置が異なるなど、いくつかの違いがあります。LCAC-1級の揚力ファン用吸気口は可変式ですが、726型は固定式である点も相違点の一つです。しかし、船体中央部の全通式車両甲板や前後ランプといった基本的な設計は共通しており、両者の設計思想には共通点が見られます。

今後の展望

726型エアクッション揚陸艇は、中国海軍の揚陸作戦能力の向上に大きく貢献しています。今後、中国海軍がどのような作戦に726型を展開していくのか、また、更なる性能向上や改良型が登場する可能性なども注目すべき点です。継続的な情報収集と分析を通じて、その動向を注視していく必要があります。

出典

(ここに参考文献などを記載)

関連項目

中華人民共和国海軍艦艇一覧
071型揚陸艦

もう一度検索