75式自走155mmりゅう弾砲

75式自走155mmりゅう弾砲の概要

75式自走155mmりゅう弾砲は、日本の陸上自衛隊が運用した自走榴弾砲で、1975年に制式化され、2016年まで支援活動を行っていました。この砲は、アメリカから供与されたM44 155mm自走榴弾砲の後継として開発され、1977年から部隊への配備が始まりました。通称は75HSPで、自走15榴とも呼ばれていました。

開発の経緯

この自走榴弾砲は、1969年から研究開発が始まり、初期の試作車は砲塔未搭載の状態で155mmりゅう弾砲を搭載していました。1973年には実用化に向けた試験が行われ、最終的に1975年に制式化が決定しました。生産は三菱重工業が車体を担当し、日本製鋼所が砲塔と主砲を開発しました。製造は1985年度まで継続され、合計201両が生産されました。

設計と性能

75式自走155mmりゅう弾砲は、車体後部に全周旋回の密閉式砲塔を備えています。車体や砲塔はアルミ合金の溶接構造で造られており、乗員は6名で構成されています。主砲には日本製鋼所製の30口径155mm砲が搭載され、自衛用に12.7mm重機関銃M2も装備されています。

特徴的なのは自動装填装置を備えている点で、回転ドラム式の弾倉により弾体が自動で装填され、最大で毎分6発の砲撃が可能です。ドラムには9発の弾薬が収納でき、さらに外部にも10発分の砲弾を搭載できるため、合計28発分の弾薬を常に備えている設計となっています。また、静油圧式の操向装置により狭い場所でも方向転換が容易です。

砲弾の開発

この自走砲に特化した「75式155mmりゅう弾」が開発されており、最大射程は約19,064メートルです。砲弾自体は1990年まで生産が続けられました。75式自走155mmりゅう弾砲は、74式自走105mmりゅう弾砲と併用されていましたが、105mm砲の性能に限界があるため、74式は少数の調達後に生産が中止されました。その後、両形式の砲は155mmに統一されました。

退役と後継

改良型の開発が検討されましたが、実現には至らず、最終的には99式自走155mmりゅう弾砲が後継機として開発されました。99式は、最初は2012年頃に退役予定でしたが、その調達が遅れたことから、75式は2016年の全退役まで長い任務を続けました。

配備と活躍

75式自走155mmりゅう弾砲は、陸上自衛隊内で多くの部隊に配備されました。特に北部方面隊の師団特科連隊や教育部隊において重要な役割を果たしました。また、いくつかの映画や作品にも登場し、日本の自衛隊の象徴的な存在となりました。

まとめ

75式自走155mmりゅう弾砲は、戦後日本の自衛力を支える重要な武器でした。その歴史や設計、運用実績は、陸上自衛隊の発展を物語っており、今なお多くの人々の記憶に残ることでしょう。

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