75mm 砲 M2-M6

アメリカ軍 75mm戦車砲：第二次世界大戦の主力

第二次世界大戦中、アメリカ軍は様々な戦車や航空機に75mm砲を搭載し、戦力の中核を担いました。本稿では、その中でも代表的なM2からM6までのバリエーションについて、詳細に解説します。

概要

75mm戦車砲は、主に戦車に搭載されましたが、一部はB-25爆撃機にも搭載されました。各バリエーションは、搭載される戦車や航空機に合わせて設計が異なっています。

M2, M3: M3中戦車
M3: M4中戦車
M6: M24軽戦車
M7: M7軽戦車
M4, M5: B-25爆撃機

砲弾

75mm戦車砲には、以下の5種類の砲弾が用意されていました。

T30キャニスター弾: 対人用の散弾。
M89六塩化エタン発煙弾'>[発煙弾]: 煙幕を張るための砲弾。
M64発煙弾'>[白リン弾]: 発火効果を持つ発煙弾。
M72[徹甲弾]: 初期に使用された徹甲弾。
M61[徹甲弾]: 仮帽と被帽を付けた徹甲弾で、貫通力が向上。

初期の徹甲弾であるM72は、遠距離での貫通力不足から、より高性能なM61徹甲弾に置き換えられました。M61は、空気抵抗を減らすための仮帽と、跳弾を防ぐための被帽を備えたAPCBC弾であり、遠距離での貫通力を大幅に向上させました。また、M61には、装甲貫徹後に砲弾を破砕し、被害を拡大させるための爆薬が搭載されていましたが、実際には爆薬なしで出荷されたものが多かったようです。

M61の初速は617m/sで、450mの距離で81mmの垂直な装甲板を貫通する能力がありました。これは1942年当時としては十分な性能であり、ドイツのIII号戦車やIV号戦車に対して有効でした。しかし、1942年3月に登場した48口径75mm砲 KwK 40を搭載したIV号戦車G型は、前面装甲が80mmに強化されたため、75mm砲M3を搭載したM3中戦車の優位性は低下しました。その後、装甲が強化されたM4中戦車の投入により、この状況は幾分改善されました。

歴史

第二次世界大戦初期のイギリス軍は、小口径・高初速の戦車砲を使用していました。しかし、これらの砲は榴弾の供給が不十分で、歩兵支援能力に欠けていました。アメリカ軍の75mm砲の有効性を認識したイギリス軍は、歩兵支援も可能な戦車砲として、オードナンス QF 75mm砲を採用しました。1944年までには、QF 75mm砲はイギリス軍の標準的な戦車砲となり、クロムウェル巡航戦車やチャーチル歩兵戦車に搭載され、北西ヨーロッパ戦線で活躍しました。

バリエーション

T6: 試作対空砲。
M2: M3中戦車の初期型に搭載された戦車砲。
口径長：31口径
初速：588m/s
M3: M4中戦車、M3中戦車に搭載。アメリカ陸軍も対戦車砲としての試験を行ったが、計画は中止。
口径長：40口径
初速：619m/s
M4: M3を改造し、B-25爆撃機に搭載。
T13E1 / M5: M3の軽量化版。ダグラスA-26インベーダーとB-25Hミッチェル爆撃機で使用。
M6: M5から派生したバージョンで、M24軽戦車の主砲として装備。
口径長：40口径
初速：619m/s

貫徹力の比較

(具体的なデータは参考文献を参照)

参考文献

Zaloga、Steven J.、Brian Delf- US Anti-tank Artillery 1941-45 （2005）Osprey Publishing（New Vanguard 107）、ISBN 1-84176-690-9 。
TM 9-2800標準砲兵および射撃統制資料（1944年2月付け）

関連項目

オードナンス QF 75mm砲：イギリスの戦車砲
7.5 cm KwK 40：ドイツの戦車砲
* F-34 76mm戦車砲：ソビエト連邦の戦車砲

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