80cm列車砲

80cm列車砲とは

80cm列車砲は、第二次世界大戦中にドイツ陸軍によって開発された、世界最大の列車砲です。この砲は、当初3基の製造が計画されましたが、実際に製造されたのは2基のみで、1号機は「グスタフ」と呼ばれ、2号機は「ドーラ」と名付けられました。

開発の背景

この列車砲は、フランスのマジノ線を攻略するために1934年から開発が始まり、1940年に完成しました。製造はクルップ社によって行われ、砲は総重量約1350トン（一説では1500トンとも）を超え、全長42.9m、全高11.6mという巨大な規模を誇ります。砲身の長さは32.48m、口径は80cmで、射程は30〜48kmに達します。

構造と性能

80cm列車砲には、榴弾とベトン弾という二種類の砲弾があり、榴弾は4.8トン、ベトン弾は7.1トンを誇ります。これにより装填作業には considerable な時間がかかり、発射速度は1時間に3、4発の制約がありました。砲弾の輸送には専用の貨物列車が必要だったため、運用には多額のコストと時間がかかりました。

射撃準備と移動

砲の発射は、強力な駐退復座装置によって反動を吸収し、5軸10輪のトレーラーで支えられています。射撃のためには特別に敷設された線路が必要で、さらに準備作業には数週間を要しました。また、移動や射撃準備には1400人の操作要員に加え、4000人以上の技術者が必要でした。このため、運用は簡単ではなく、参加した戦闘は限られたものとなりました。

実戦での運用

初めての実戦は1942年のセヴァストポリ要塞攻囲戦であり、ここでグスタフは攻撃に参加し、16kmの距離から48発を発射しました。この陣地攻撃で、グスタフはコンクリート製の防護施設に対して圧倒的な威力を発揮しました。続いて、1942年にはドーラも完成し、スターリングラード攻防戦に投入されましたが、戦況の急変により撤収を余儀なくされました。

運用の限界

この列車砲は、非常に強力な武器ではありましたが、実運用には多くの制約がありました。移動時の困難さ、周囲の航空機からの脅威、そして長時間の準備が必要だったことから、実戦に参加する機会は極めて少なくなりました。特にドイツが制空権を失った際には、その存在感はかつてのものとは異なりました。

結末とその後

1945年、グスタフとドーラは連合国軍に捕獲されるのを避けるため、爆破処分されました。今日、80cm列車砲は、実戦化された中で最大の大砲として、多くの作品や文献で言及され続けており、その独自の歴史と存在意義を持っています。

まとめ

80cm列車砲は、巨砲としての存在感と、それに伴う技術的な挑戦を伴う武器です。特異な運用方法とともに、その影響は現在の戦術や兵器開発にも影響を与える存在として、今後も語り継がれることでしょう。

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