88万ウォン世代

88万ウォン世代について

88万ウォン世代（パルシッパルまん-セデ）は、韓国において1970年代の終わりから1980年代の中頃、具体的には1977年から1986年に生まれた人々を指します。この世代は、特に大学卒業後に非正規雇用の職に就くことが多く、多くの若者たちが厳しい経済環境に置かれています。

平均月収と経済背景

彼らの平均月収は88万大韓民国ウォン、すなわち約8万円であり、これは他の先進国と比較しても非常に低い水準です。特に1997年に発生したIMF経済危機は、韓国の雇用市場に大きな影響を与えました。金大中政権が新自由主義的な政策を推進した結果、雇用が激減し、青年失業者が急増しました。その結果として、大学卒業生の就職率はわずか48%にまで低下しました。

政治的変動

この世代は、以前は政治的に保守的であったものの、さまざまな社会的変化により意見が分かれるようになっています。元々はハンナラ党の李明博が大統領に選ばれる際の支持基盤の一部を形成していましたが、彼らを代表する386世代が権威主義的な政治を受け入れる中で、左派の統合進歩党を支持する若者も現れるようになりました。

経済的苦境

88万ウォン世代は、厳しい経済環境の中で「恋愛、結婚、出産」の3つを放棄する「三放世代」と呼ばれることが増えています。この背景には、大学進学が当たり前の社会において、卒業後も奨学金や学生ローンの負担が重く、十分に自立できない現実があります。これにより、彼らは将来への不安を抱えながら生きることを余儀なくされています。

文化的な影響

また、韓国社会においては「プレカリアート」と呼ばれる、新たな労働者階級の台頭も見られます。彼らは、不安定な雇用に従事することで、不安定な生活基盤を持ちつつも、一方で社会的な意識を高め、ネットを通じた情報共有やコミュニティ形成を行っています。その結果、彼らの声が社会に影響を及ぼすことも少なくありません。

まとめ

88万ウォン世代は、韓国における教育の過程や職業選択の難しさを象徴する存在であり、彼らが直面する経済的、社会的な問題は、今後の韓国社会にとって重要な課題であると言えるでしょう。今後、彼らの立場がどのように変化していくのか、注視が必要です。

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