925 (アルバム)

ZORNのEP『925』について

2021年8月4日にリリースされたZORNのEP『925』（キューニーゴ）は、日本のヒップホップシーンにおいて重要な作品の一つです。先行配信されていたシングル「家庭の事情」を含む全7曲が収録されており、客演アーティストは迎えずに、全曲のサウンドプロデュースを前作『新小岩』に引き続きBACHLOGICが手掛けた点が特徴です。

ミュージックビデオ

本作では、「家庭の事情」に加え、「Lost」と「Stay Gold」のミュージックビデオが制作されました。「家庭の事情」と「Lost」のディレクションは山田健人が担当し、「Stay Gold」は新保拓人が担当しています。

特に「Stay Gold」のミュージックビデオは、ZORNの地元である葛飾区の京成立石駅周辺、特に立石商店街で撮影され、その地域密着型のアプローチが話題を呼びました。このミュージックビデオは、2021年9月12日に横浜アリーナで開催されたワンマンライブ「無題」の公演後に公開され、ファンにとって特別なプレゼントとなりました。

チャート記録

『925』は、そのリリース直後から大きな反響を呼び、各種チャートで首位を獲得しました。オリコン週間デジタルアルバムランキングでは6,217ダウンロードを記録し、見事1位を獲得。これは前作『新小岩』に続く2作目の首位となり、ZORNのデジタルアルバムにおける人気の高さを証明しました。

また、Billboard JAPAN Download Albumsでも7,625ダウンロードで首位を獲得し、こちらも前作に続き首位を獲得する快挙を達成。さらにBillboard Japan Hot Albumsでは3位を記録し、ダウンロードアルバムランキングでは翌週も首位を維持しました。

その他

『925』のリリースに際して、ZORNはゲリラ販売というユニークな手法を取りました。SNSを通じて告知を行い、新小岩公園で自身による手売り販売を実施。この企画は多くのファンを集めましたが、予想以上の人出のために現場は一時的に混乱し、警察沙汰にまで発展しました。最終的にはスタッフが対応に当たり、事態は収束しました。

1曲目に収録された「Lost」は、2021年1月に開催された日本武道館でのワンマンライブ後、自身のラッパーとしての立ち位置を深く考えたことがきっかけで制作された楽曲です。この曲では、お金がなくても家族といる幸せを実感しているZORNが、成功とともに家族や仲間との時間が減っていくことに対する葛藤を表現しています。成功によって生じる苦悩を赤裸々に歌った点が、多くのリスナーの共感を呼びました。

まとめ

『925』は、ZORNのアーティストとしての成長と深化を強く感じさせる作品です。サウンド面でのクオリティはもちろん、ミュージックビデオやリリース方法など、様々な面で革新的な試みがなされています。ZORNの地元への愛や、成功と苦悩の間で揺れ動く人間らしい感情を表現した本作は、彼のキャリアの中でも重要な位置を占める作品と言えるでしょう。

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